いまどきの大学
2007年 03月 15日
富山大学の学生自治会が非公然化され自治会室の明け渡しをもとめられているという。
ピースウォ−クなどの活動では学生諸君と共同で取り組むこともあるし、10年ほど前に、私が小矢部市の市議をしていて、いわゆる「市民派」の政治活動を盛り上げようとしていたころには、非常勤講師として20歳になった学生たちに地方政治の現実について講義をしてきたこともある。下の娘もここを卒業した。そんなこんなで他人ごととも思えず、気になって学生のくれたチラシなどを読んでみた。
そもそもの発端になった新しい学生規則なるものを見て一驚した。(思い返せば、中学生の時の生徒手帳に載せられていたであろう「規則」以来、そんなものを見たことはなかったのであるが)。全29条のうち、前半は入退学や授業料など、文字通り規則であるが、後半は学生に対する強権的な管理統制になっている。
団体の設立に学長の承認が必要であることから始まって、解散命令や外部団体への加入の承認、集会などの事前届け出と許可制、印刷物の配布や看板設置の事前承認などなど、事細かに強圧的な管理規則を定めている。読んでいるだけで息苦しくなりそうだ。
でも、この既視感は何だろうか。そうだ、「治安維持法」に最も近い!
極めつけは、
第19条 学生又は団体は、本学において、特定の宗教団体及び特定の政治団体の主張の普及・助長を図る活動をしてはならない。
である。
いまどき、憲法の思想・信条の自由に堂々と挑戦する珍しい規則といわねばならない。これには、さすがに教員の中でも批判の声をあげる人もいるらしいが、独立行政法人化以来、学長権限が強化され、どうやら教授会による自治などは昔がたりになっているらしい。
この規則では「学問の自由」も死語になるだろう。
末尾の条文では、学外での合宿(個人団体問わず)や旅行(同)にまで届け出を要求している。中学生に対する規則のごときである。
かつて講義をした時には、なるほど今どきの学生には昔に比べると幼い感じを禁じ得なかったが、それにしても、「ここまでやるか!」と唸ってしまった。
一昨日、大学構内で抗議集会をするというので出かけたところ、連帯か激励かの挨拶を求められ、憲法違反どころか「子どもの権利条約」にも違反しているぞ、とアジってしまった(笑)。
いやはや、すさまじいまでの劣化・退化現象である。
by sumiyakist
| 2007-03-15 09:37
| 憲法・教育基本法