8月15日

c0068917_2141153.jpg 小泉首相は世間の「期待どおり(?!)」8月15日に靖国神社に参拝した。この日、私もその一員である「平和をつくる富山県連絡会」が主催して、富山駅の対面にあるCic前広場で「憲法変えるな!平和のつどい」という集会を開いた。
 8・15というのはいうまでもなく戦後史の始まりを記念する重要な日なのであるが、一般市民にとっては、あの世からご先祖様が来られたり、現世では都会から親族や友人がやって来たり、来客がなければ家族サービスを要請されたりと、なにかと忙しくて、イベントを開くには勇気と体力が必要な日でもある。
 しかしながら、とりわけ今年は、イラクで自衛隊(空自)が兵站輸送という事実上の戦闘行為を行っているさなかでもあり、秋からの臨時国会では教育基本法の全面改悪法案や憲法改悪のための国民投票法案の継続審議が行われることでもあるので、こういう状況に対して声をあげるべきではないかという議論になり、県内の何人かのミュージシャンの参加も得て「音楽とトーク」の集会を設定したのである。
 急ごしらえの催しであったので、参加者は少なかったけれども、ちょうど上の小泉首相の靖国参拝のニュースとも重なってマスコミも注目したから、やっただけのことはあったといえよう。
(上の写真は参加してくれたミュージシャンのうち、シンセサイザー奏者の滝沢卓さん(右)とペダルスチールギター奏者の千田佳生さん(左)。このほかに、箏奏者の高野咲子さんとシンガーの米田清美さんが出演してくれた。)

 さて、首相の靖国参拝であるが、その後の新聞社や通信社のアンケート結果を見れば、総じて支持(評価)が半数を越えている。
<首相靖国参拝>評価50%、批判46% ・・・毎日新聞
首相の参拝を「支持する」は「どちらかといえば」を合わせて53%、「支持しない」は計39%・・・読売新聞
「参拝してよかった」51.5% 「参拝するべきではなかった」41.8% ・・・共同通信

 この数字自体にも「ここまで来たか」というようなある種の感慨を感じたが、支持・不支持それぞれの理由の内訳にはむしろ驚いた。
 共同通信を例に取れば、支持の理由としては、
1.他国によって影響されるべきではない・・・56.6%
2.慰霊は当然・・・34.0%
3.公約だから・・・7.7%
 の順であり、不支持の理由としては、次のようである。
1.中国・韓国などとの友好関係の悪化・・・55.4%
2.A級戦犯がまつられている・・・26.4%
3.憲法(政教分離原則)に違反・・・17.4%

 つまり、首相の靖国参拝を支持するにしろ批判するにしろ、その理由の圧倒的多数は、外国(中国・韓国)との関係を挙げているのである。いわば、靖国神社(思想)の本質よりも、状況的な理由によって評価しているのである。
 これはまさしく、小泉首相の弁解と反批判、「中国や韓国が反対しているといって(日本人が)反対するのはおかしい」という論理の土俵に、多くの人が知らないうちに乗せられているのである。
 こういう土俵を設定したのはいうまでもなく首相とその周辺であり、そこへ世論を囲い込んでいったのはマスコミである。いつもの「小泉劇場」の筋書きだといえばそれまでであるが、意図的な世論誘導の意志というよりも、マスコミの人間の無知による「不作為」なのかも知れない。
 すなわち、靖国思想の本質は決して「戦没者を追悼(慰霊)する」ものなぞではなく、高橋哲哉氏の論(『靖国問題』)が指摘するとおり、「感情の錬金術」によって、肉親の「戦争における死」の意味を回収させ、納得させる装置である。それは「軍国主義の象徴」などといった曖昧なものではなく、「国民を戦争に駆り立てる国家」にとっては必要不可欠のシステムであるのは、少なくともマスコミレベルでは常識として確立されていなければならない。
 状況論として論じられるにしても、少なくとも「政教分離原則」という憲法論から語られなければならないが、論調は「中韓」「A級戦犯」からしか始められない。(今回はそれに「天皇の不快感」が加わった。)これは、マスコミ人の決定的な不勉強・無知であるか、そうでなければ意図的な世論誘導といわねばなるまい。
 そのゆえに、賛成にしろ反対にしろ、本質的なことと派生的な外交マターとが逆転した意識から一般の反応が起きる。そして、マスコミがさらにそれを増幅する。こういう構造がすっかり定着した。上の世論調査結果はそのことを如実に物語る。
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by sumiyakist | 2006-08-17 22:00 | 憲法・教育基本法

山で暮らしながら下界に関わる日々


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