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語るに落ちる

 いうまでもなく、問題の中心は地方自治法204条であり、その給与条例決定主義の原則に富山県職員退職手当条例の第15条が違反するかどうかということである。
 被告側から出された答弁書の「第3 本件条例の適法性」の中の(3)

「知事の給与の額等を条例で定めるとする地方自治法204条3項の趣旨は、地方公共団体が義務として負担すべき経費は住民の代表者が決定すべきであるということなのであるから、一般的な算式を定めておくよりも、具体的な額の決定を条例の制定権者である議会に留保する方が、議会の監視機能をより重視するものであり、そのことを定める本件条例15条は、地方自治法204粂3項の趣旨をより確実に実現しようとするものであるから、これを同項に違反すると解する理由はない。」

という主張は、この訴訟に先立つ監査請求にたいする回答の中でも述べられていたものである。2月1日の公判で提出したわれわれの準備書面ではこの問題について次のように反論した。

「被告の主張は、原告が訴状で指摘したとおり、地方自治法が予定する議会と首長の抑制・緊張関係の観点から、退職金の額を条例で定める、とした地方自治法の趣旨を否定するものである。
 すなわち、地方自治法は議会がその都度議決で知事の退職金額を決定することとすれば、場合によっては退職金額を過分にも過少にも(0にすることも不可能ではない)議会の裁量で自由に決定できることとなり、議会の権限が強大となりすぎ、その結果知事が、個々の政策について議会と対立し、その意向に反して行政を推進する必要があるような場合でも、自己の退職金のことを考慮して本来行うべき行政が行えなくなるような不都合な事態も考慮し、その都度その都度の議決ではなく、ある程度安定し、住民の意思も反映しやすい条例の形式で定めることを求めているものであり、単に、被告の主張するように納税者の代表が決めればよいというような単純な発想によるものではない。
 したがって、地方自治法の規定より議会の監視機能を強化するような被告の解釈は地方自治法に反するのである。」

 被告=県側の主張するように、知事の退職金を議会が決めるという仕組みが、そんなに立派であるのなら、「日本唯一」のこの制度をしっかりと残すべきなのに、問題が露呈するや否や次の議会(05年六月議会)でさっさと廃止して「特別職退職手当条例」を制定したということ自体が、県側の主張の不合理をなによりも雄弁に物語っている。語るに落ちたというべきである。
by sumiyakist | 2006-02-03 09:37 | 知事退職金

山で暮らしながら下界に関わる日々


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