被告(=県)の答弁書

 大雪に見舞われて暮れから正月を過ごし、その後も雪と格闘しているうちに、ブログ更新の怠け癖がついてしまった。
 さて今日、2月1日午後、第2回の公判が開かれた。当初の予定ではわれわれ原告側から「学者証人」を申請するつもりであったが、諸般の事情で人選が進まず、証人申請は次回3月15日に繰り延べて貰い、前回に県側から出された答弁書に対する反論(第1準備書面)を提出した。
 ここで、やや煩瑣になるが、われわれの主張(訴状)に対する県側の答弁書の主要部分を載せておく。
<県側の答弁書の結論部分>
3 本件条例の適法性
(1)前記1、(1)で述べたように、普通地方公共団体の長等の常勤の職員(短時間執務職員を含む)に対する給付について定める地方自治法204条は、その1項で給料及び旅費を支給しなければならないと、その2項で、条例で、退職手当等の手当を支給することができると、その3項で、給料、手当及び旅費の額並びにその支給方法は条例で定めなければならないとしているが、その趣旨は次のとおりである。




 その趣旨の第1は、非常勤職員に対する報酬等を条例で定めることとする同法203条及びお手盛り的な給付を禁止する同法204条の2並びに定数条例で定めることとする同法172条3項、地方教育行政の組織及び運営に関する法律21条等の規定と和まって、納税者の代表たる議会による財政統制の実をあげることにある。すなわち、一旦任用した職員にかかる人件費を支出するのは、当該普通地方公共団体の義務的経費となり、たとえ現実に支出すべき年度の予算において議会が否決しても、長はそれに要する経費を予算に計上して、その経費を支出するとができるとされているところ(地方自治法177条2項1号、3項)、そのような義務的経費が生ずる根拠は、住民の代表である議会が定めるべきであるということである。
 その趣旨の第2は、地方公共団体に勤務する者の基本的な権利である袷料等の内容を明確にするとともに、労働基本権が制限されている一般職の職員(地方公務員法3条、4条、37条、52条5項、55条)については、その基本的な権利である給料等を住民の代表である議会が定めることによって、執行機関の恣意を排斥し、職員の基本的な利益を保護することにある(地方公務員法14条1項及び24条5項参照)。

(2)前述のように、地方自治法204条3項の趣旨は、給与(給料及び手当を総称する一般的な用語である。)の内容を執行機関に委ねることなく、住民の代表者が定めるべきであるとすることにあり、多数の職員の給与に関する個々具体的な事案について個別に議会が議決をすることが余りに煩瑣であって非現実的であることから、議会が一般的な基準を定め、その個別事案への適用を執行機関に行わせるとしたものである。そして、議会が一般的な基準を定めるのは条例の制定という方法によることが通常であるので、法律上の表現としては、「条例でこれを定めなければならない」とされているのである。

(3)知事が使用者の立場にあることからすると、知事の給与については、前記(1)で述べた地方自治法204条の趣旨の第1が重要な意味を有することになる。
  本件条例は、特別職と一般職を区別せず、常勤の職員全てを対象として制定されたものであり、退職手当の額の算出方法を定める3条から5条は、常勤の職員のほとんどを占める一般職の職員を念頭においたものである(同家公務員退職手当法2条及び3条参照)。一般職の常勤の職員は終身雇用が原則であり(地方公務員法27条2項参照)、それであるが故に、勤続年数が長くなるほど支給割合が多くなり、また、定年に達する前に勧奨を受けて退職する場合の支給割合が割増されている(本件条例3条1項、4条1項、5条1項、5条の2)のであるが、4年の任期が定められている知事には、この考え方は妥当しない。ちなみに、本県を除く他の都道府県においては、一般職と知事等の特別職とで別々の退職手当に関する条例を制定している。
 本件条例15条は、このことを前提として、「知事‥・の‥・退職手当の額は、‥・議会で議決する額とすることができる。」としているものであり、これは、議会が、知事の退職時の状況に応じて、個別具体的にその額を決定できるとするものである。
 前述のように、知事の給与の額等を条例で定めるとする地方自治法204条3項の趣旨は、地方公共団体が義務として負担すべき経費は住民の代表者が決定すべきであるということなのであるから、一般的な算式を定めておくよりも、具体的な額の決定を条例の制定権者である議会に留保する方が、議会の監視機能をより重視するものであり、そのことを定める本件条例15条は、地方自治法204粂3項の趣旨をより確実に実現しようとするものであるから、これを同項に違反すると解する理由はない。
 しばしば条で定めるべき事項を執行機関が定める規則等に委ねることの是非が問題とされることがあるが、それは、議会の権限を執行機関に委ねることから生ずるものである。本件条例15条は、条例の制定権者である議会が個別具体的な事案が生じたときに、自ら額を決定することができるとするものであるから、その点からも問題となる余地はない。

4 まとめ
 以上縷々述べたように、本件条例15条は地方自治法204条3項に違反するものではないから、本件支出を違法とする根拠はなく、原告らの主張に理由はないことが明らかである。したがって、本件請求は速やかに棄却されるべきである。
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by sumiyakist | 2006-02-01 22:34 | 知事退職金

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