第1回公判

c0068917_1940247.jpg

 12月7日(水)午前10時から前県知事退職金返還請求裁判の第1回公判が開かれる。原告3人はもちろん、オンブズ小矢部のメンバーからほかに2人が参加(写真は公判前に裁判所の前で)。富山地裁で一番大きい法廷だが、傍聴席は市民オンブズ富山のメンバー(10年前の設立当時の懐かしい顔もあった)をはじめ、平和運動の仲間や一般市民などで盛況だった。
 あらかじめ青島弁護士を通じて原告3人の意見陳述をしたい旨申し入れてあり、私(美谷)から順に意見陳述を行った。以下に私の原稿を載せる。

1.はじめに
 (略)
2.提訴の理由
 市民オンブズ小矢部では、これまで市長交際費の使途や公共事業の入札などを取り上げてきましたが、昨2004年末ごろにたまたま、前富山県知事中沖豊氏の退職金が支給されること、しかも2億3千500万円の巨額になるということを知り、この額が妥当であるのかどうか、市民オンブズ小矢部の定例会で話題に取り上げました。
 その後、富山県の職員退職手当条例や地方自治法を読み直し、支給された退職金についてのさまざまな経緯を示す公文書や議事録などを入手してみんなで検討するとともに、法律家の意見も聞いてみました。その結果、この退職金支給は違法な支出を含んでいるとの結論に至りました。
 そして、今年の6月27日には今回の提訴の原告である3人の連名で富山県監査委員に対して住民監査請求をしました。そして、監査委員が請求を却下したので、こうして裁判所に提訴しております。
 提訴の趣旨は訴状に述べておりますので詳しくは触れませんが、要は、地方自治法は公務員の給与などの支給については厳密な条例主義を定めており、金額および支払い方法について条例に定めのない退職金の支給は違法であるということであります。なるほど、富山県の職員退職手当条例15条には、知事などの特別職の退職金は「この条例の規定にかかわらず」議会の議決によることができるとあります。
 このことをとらえて、監査請求に対する県の主張は、この条文が給与条例主義に合致している、あるいは、県民の代表たる議会の議決だから条例よりももっと有り難いのだとさえ述べております。しかし、これは大きなる誤りであります。
 条例よりも議決が優越するものなら条例は不要であり、せいぜい、いちいち議決をするのが面倒だから議決集としてまとめてあればいいということになります。こういう考えは、煎じ詰めれば法治主義あるいは立憲主義に全く背馳するものであり、こういう意識で富山県の行政が行われているとすれば、ことは知事退職金の問題にとどまらず、行政全般の質が問われることになります。
 しかも実際のところ、監査請求に対してはそのように言い訳(言い逃れ)をする一方で、今年の6月議会においては特別職の退職金に関する条例を議会に提出し成立をみております。このことが、それ以前は違法状態、少なくとも不完全な状態であったことを物語っております。



3.中沖氏の失敗
 私たちの提訴の最大かつ根本的な法的根拠は今述べた「給与条例主義違反」にありますが、そのほかにも、中沖前知事の2億3千500万円という退職金が過大であるという、いわば政治的・社会的な理由があります。
 その第一は、中沖前知事は6期24年の在職中に積み増した8000億円の借金すなわち県債残高の問題であります。これについては、正確な数字をあげると、中沖氏が知事に就任した1980(昭和55)年度末が、1621億900万円。退任する直近の2003年度末が、9514億7700万円ということです。しかも2004年度予算編成は中沖県政によるものでありますから実際は更に増えている筈です。ともかく、ざっと8000億円の借金を積み増ししたことになります。
 第2には、その2004年度には400億円もの赤字財政に陥っていたということです。こういう言葉を、誰が発案して使わせているのか知りませんが、県内のマスコミでは「構造的不足額」などと表現しておりますが、端的にいって財政破綻状態であります。財政再建団体への転落の可能性さえあり、元自治省のベテラン行政マンである石井新知事の手腕を持ってしてもまだまだ予断を許さないとの報道があります。(11月15日付北日本新聞)
 以上2点を民間会社の経営に引き比べて考えるますと、中沖前知事は、莫大な借金を作り、しかも赤字経営に陥った会社の社長を引退する経営者とでもいうべき存在であります。民間会社なら場合によっては私財を投げ出して責任を負わねばならないこともあり、退職金なぞ支給されることは考えられない状況であるのです。
 ・むだダム
 こうした財政破綻をもたらした原因の最大のものは、どこの自治体でも見られることですが、放漫な公共事業政策です。無駄あるいは過剰整備ともいうべき豪華な公共施設、いわゆるハコもの、過大な需要予測に基づくやダム、大規模林道、などなどです。しかもなお、新幹線知事と自他ともに任じてきた中沖氏が建設にメドをつけたと自賛する新幹線についても、2000億円もの地元負担を伴う話であり、更なる借金を後世に押し付けることになるのです。
・地価下落日本一
 その一方で、富山市や高岡市をはじめ、県内各地の中心市街地は衰退し、県外資本による巨大ショッピングセンターの一人勝ちの状況が生まれております。ここ数年、発表される全国の土地価格いわゆる地価については、とりわけ商業地については依然として下落し続けるだけのみならず、その下落率においても常にワースト1やワースト2でありつづけております。こうした状況に陥る前に、なんら有効な政策を打ち出してこなかった中沖県政は責任がないとはいえないでしょう。
・情報公開度最下位
 また、全国のオンブズマン組織が毎年調査して発表する都道府県の「情報公開度」については、富山県は常に最下位のあたりを上下していました。それほど、透明度の低い、閉ざされた行政運営を行っていたということです。
・絶対多数与党に安住した取り巻き政治
 以上申し上げてきたことの最大の原因は、県議会の圧倒的多数を占める絶対多数与党にあぐらをかいた惰性的な県政運営、イエスマンに囲まれた取り巻き政治に陥っていたことにあるといえます。長期政権の一般的な悪弊そのものであります。
 こうして、中沖前知事の行政運営について点検するとき、前例と横並びだけをもとにした計算式で退職金を計算して支給するということは、県民の感覚とは全く乖離したことだと言わねばなりません。そのような、政治的・社会的な見地から考えても、一般職としての退職金4485万9750円が妥当であると考えます。
 物事の是非をはっきり主張する県民もまた存在するのです。私たちのこの提訴に関して、多くの県民が声援を送ってくれております。そういう、いわば「声なき声」を代弁するためにもこの裁判はあるということを訴えます。
4.特別職の退職金制度について
 過日の新聞報道で最高裁判事の退職金が平均して3分の1ほどにも大幅に減額される由を知りました。そこにどのような経緯があるのか、つまびらかに知ることはできませんが、高級公務員としての最高裁判事が自らの報酬や退職金のあり方について、今日的な自己反省を率先して行っているものと私たちは評価します。
 民間企業では、30年も35年も営々と働いてやっと3千万、4千万の退職金が得られれば幸いとしなければならない。解雇されたり、会社自体が倒産したり、縮小したりして、それさえかなわないという場合も多くあります。そういう納税者の税金でまかなわれる、全体の奉仕者としての公務員、とりわけ、自治体首長や高級官僚が、お手盛りのような形で高額の退職金を手にしたり、いわゆる渡り鳥によって、繰り返して退職金を得るという制度はどう見ても不合理なものです。
 私たちは、この前知事退職金に関する裁判によって、こうした特別職の退職金制度の見直しをも訴えたいと考えております。どうか、厳正なご判断をお願いいたします。
[PR]
by sumiyakist | 2005-12-07 20:03 | 知事退職金

山で暮らしながら下界に関わる日々


by sumiyakist
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30