市民オンブズ(マン)

 「市民オンブズ(マン)運動」が全国的に始まったのは、10年ほど前のことである。片山義博・鳥取県知事は、「頼みもせず、報酬も払わないのに、チェックしてくれる」と感謝してくれるが、そういう人は稀で、ほとんどの首長にとっては、やっかいな「目の上のたんこぶ」と感じられているであろう。
 最初は、行政の「食糧費」の使い道を情報公開で調べることによって、それが役人同士の飲み食い、いわゆる「官々接待」に使われていることを告発した。その後、出張旅費を調べて、カラ出張をあぶり出し、いまも公共事業の談合や警察の捜査報償費の不正支出を追及している。「市民オンブズ小矢部」でも、独自の調査活動をして市長交際費の不当な支出を改めさせたりしてきた。
 要は、税金で賄われる公費の不当・不法な支出を監視する。そして、それがあった場合には是正させるための行動を起こすということである。
 元来、行政の監視をするのは議会の第1番の仕事の筈である。ところが、大抵の場合、議会は行政(首長部局)と持ちつ持たれつの<仲良し>になってしまっていて、十分な監視機能を果たしていない。議会は、いわば「首長の藩塀(はんぺい=守りの囲い)」と化しているのである。
 中沖前知事の退職金2億3千5百万円については、なるほど、昨年12月の県議会で議員のうちの何人かは反対したようであるが、結局多数決で議決されればそれまで。それ以上、手の打ちようはない。反対した議員も、何とかくい止める方法はないかと必死で調べた様子はない。(全国でただひとつ富山県だけが特別職の退職金に関して明示的に定めた条例が存在しないにもかかわらず、である。)
 そういう時に、住民監査請求というのは貴重な制度である。監査委員(富山県の場合4人)に対して、公費の支出を調査して、不当であるなら是正措置を取らせるべく行政に勧告するように、住民が直接要求する仕組みである。その後に、行政訴訟に訴える道も開かれている。こういう仕組みはどんどん使われるようにしたほうがいい。それが、議会に対しても監査委員に対しても強い刺激になるからだ。
 かつて市民オンブズ運動は「眠れる議会、死せる監査委員制度」と両者を批判した。その後、一部に外部監査制度を取り入れたりする制度改革も行われているが、まだ大勢は「形ばかり」の域を出ない。
 代議制民主主義を金科玉条のごとくに盲信するべきではない。代議制に命を吹き込み、それをいきいきとさせるのは、じつは直接民主主義的な活動なのだ。そうでない限り、代議制は形骸化し、「おまかせ民主主義」に堕する。
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by sumiyakist | 2005-07-10 17:58 | 知事退職金

山で暮らしながら下界に関わる日々


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