

今年の記念講演には遠路福岡県から西山太吉氏にお越しいただくことが出来た。西山氏は元毎日新聞の政治部記者で、1972年に佐藤内閣が沖縄返還を成し遂げた裏に、米軍基地の跡地整備にかんして、返還協定の表向きとはちがって日米間に秘密の取り決めがあることをスクープした人物である。(この記事がもたらした結末が、外務省機密漏洩事件としてあらぬ方向に展開し、西山氏は社を辞職することになったということをご記憶の人も多いと思う。)

西山氏はこれは国家権力による犯罪であるとして国家賠償請求を提起したが、裁判所は20年の除斥期間をたてに氏の訴えを却下した。(最高裁で確定)。
しかし、氏(および氏を支援する多くの人びと)は、アメリカでは公文書館で明々白々に公開されているにもかかわらずわが国では「不存在」となっている密約文書について、情報公開法にもとづいて開示請求訴訟を来年早々に提起する予定で、行政と一体化した司法そのものも問い詰めたいという。

1931年生まれの西山氏であるが、立ったままで1時間半の講演をされ、民衆と政府とマスメディアが良き緊張を保ってこそ民主的な市民社会が成立しうるという話で締めくくられた。
西山太吉氏の講演ということで、会員・サポーター以外の聴衆も多数参加し、補助椅子を出すほどの熱い講演会であった。
12月2日 追補
西山氏の講演の一部を会員の松永定夫さんがユーチューブに投稿している。