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ミズナラと酸性雪

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 ナラ類は炭の原木としては(本州以北では)最重要の樹木である。従って、人の手がはいった二次林(薪炭林)としての、いわゆる里山の景観を作り上げてきた主役級の樹種である。先に述べたように久利須村の山(標高300メートル程度)ではナラ類はコナラが殆どで、まれにミズナラが混じる程度である。標高が高くなるほどミズナラの比率が高くなり、県内でも例えば利賀村のように600〜800メートルまで上がるとこの比率は逆転する。同様に(しっかり確かめたわけではないが)、東北・北海道へ行くと多分ミズナラが優勢になる。両者は樹皮も(プロの目には)はっきりした違いがあるが、ここでは比較のために葉っぱの写真を載せておく。(左がコナラ、右がミズナラ。無精をしてネットから借用)
 このミズナラのことは以前から気にかかっていた。というのも、久利須あたりの山では、直径10〜20センチほどのミズナラの比較的若い木(小径木)はあるが、それ以上のものは殆ど見あたらず、それどころか、時折若木のまま枯死したものに遭遇することもあり、ミズナラの大径木は全く見られないことに気づいていたのである。
 もう少し標高の高い山(400メートル〜500メートル)だと、ミズナラの割合は増えるのであるが、それでもやはりある程度大きくなると立ち枯れるという現象にもしばしば出くわした。ただしその枯れ方は、いま思い出してみても、眼前のような劇症型(突然死型)の枯死ではなく、徐々に樹勢が衰えて緩慢に枯れてゆくというものが殆どであったように思う。(したがって、衰弱途上にある中径木も散見された。)
 こういう現象を、私は次のように理解してなんとなく納得していた。すなわち、同じナラ類でも、ミズナラは寒冷地(高地)に適合した樹種であって、北陸あたりでは低山地にはあまり適応しないのであろう。従って、ある程度大きくなると環境に適合せずに樹勢が衰えて緩慢に枯れてゆく、と。
 たまたま、「炭やきの会」(故・岸本定吉博士を中心に始められた組織)などで知り合った登山家で在野の森林研究者でもある宮下正次氏に、この北陸のミズナラの衰弱死について話をしたことがあったが、氏は即座に「酸性雪」が原因だと断言した。氏は著書でもそのことを指摘していた。
c0068917_9395942.jpg 酸性雨については今ではよく知られているが、酸性雪というのはまだ十分研究もされていないという。北陸などの多雪地帯では酸性の雪が積もって、しかもその酸性成分が濃縮された状態で早春に樹木によって根から吸収されることになる。当然、植物には悪影響をもたらし、ナラ類でも対応力の弱いミズナラが衰弱することになる、というのである。「いずれはコナラも弱ってゆきますよ」と氏は不気味な予言をしていた。左に氏の著書2冊を載せておく。(『炭は地球を救う』『炭はいのちも救う』いずれもリベルタ出版・刊)
 さて、その酸性雪説とカシナガ原因説とはどう関係するのか? 以下次回に。

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by sumiyakist | 2007-08-23 09:51 | 自然と暮らし