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憲法は押しつけに決まっとる!

 前回載せた映画「日本の青空」は、現行の日本国憲法が占領軍(アメリカ)の押しつけであるという、主として改憲派からの批判(というか難癖)に対して、必ずしもそうとだけはいえず、高野岩三郎らの憲法研究会が提出した「憲法草案要綱」(起草の中心になったのが映画の主人公である鈴木安蔵)を、GHQがかなりの程度参考にして、最終的なGHQ案として日本政府に提示したのであるとする。これは、現憲法の成立過程に日本国民の意志が反映されていることを強調するための護憲派の強弁ではなく、国会図書館が作ってインターネット上に公開しているサイト=電子展示会「日本国憲法の誕生」においても原資料を載せて詳しく紹介している。
 しかしここは、さらに一歩を進めよう。そもそも憲法というものが「押しつけ」なのだ、ということを理解する必要がある。政治権力=国家権力というのはじつに強大なものなのであって、合法的に人の命を奪うこと(死刑)もできるし、人を殺させること(戦争)もできる。そういう強大な力であるから、被統治者である民衆は統治権力(政府)に対して権力行使にかんして従うべき枠をはめてきた。それが憲法である。
 つまり、憲法というのは被統治者(民衆)が統治権力(政府)に対して押しつけた枠組みなのである。統治権力を持つものはその枠組みの中でのみ権力行使をすることができるというものである。憲法が最高法規といわれるのはその意味においてなのである。それが「立憲主義」の本質である。

 さて、そこで日本国憲法であるが、知り合いの憲法学者(私的なメールの文章だし了解も得ていないので名前を出すのは控える)がいうように、
 そもそも、憲法は国民が国家権力に押しつけるものです。であるのに、当時日本の国民・人民はその力量がなくて、代わって、占領軍が押しつけてくれたということです。
 力量がない!の端的な例は、弾圧され、拘束されていた民主主義・平和の担い手を、国民運動で監獄から解放するということをやっていない。憲法草案を国民運動で練り上げて国会で取り上げざるを得ない状況をつくったわけではない。

 ということだ。
 日本人民の力不足を連合国占領軍GHQが補って時の政府に「押しつけた」ということだ。押しつけでいいではないか。
 このことは、戦後民主主義改革のもう一つのテーマ=農地改革を考えるといっそうよく分かる。当地には、現憲法をアメリカの押しつけだといって改憲=自主憲法制定を主張する保守王国の「草の根保守オヤジ」が沢山いるが、じつは、彼らの暮らしの根源には戦後改革のひとつである農地改革がある。これこそまさしく、占領軍(アメリカ)の押しつけそのものなのである。なるほど、大正リベラリズム以来の小作争議などの農民運動はあるにはあった。しかし、天皇制とその根を一にする地主層の力に屈せっざるを得なかったのが戦前の農民運動であった。多くの小作農民は、戦後になって「アメリカさんのおかげで」地主からただ同然の価格で農地を買い取って自作農になることができたのである。
 詳しく述べる余裕はないが、時の政府=権力は、解放農地の規模について、地主層の側に立って最後まで抵抗したが、結局、「マッカーサーの鶴の一声で」所有農地1町歩の自作農が誕生したのである。そのことが、ひいては高度経済成長の基礎を作ることにもなる。
 憲法をアメリカの押しつけであると非難するオヤジさんは自らの農地がどういう経緯でわが家のものになったかもよく考えるてみるべきである。
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by sumiyakist | 2008-03-18 21:32 | 憲法・教育基本法