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メカニズムと環境因

 このナラの枯死問題(ナラ枯れ)については、ネット上でもいろいろな報告が出されているが、最新のものとして、これまでの研究成果や対応策を集約したようなパンフレットが出されている。森林総合研究所関西支所のHPからPDFファイルでダウンロードできる。ご関心の向きには参照いただきたい。
 それらによると、ナラ枯れのメカニズムほぼ解明されているようで、カシノナガキクイムシ(カシナガ)という小さな甲虫が媒介するある種の菌類(ナラ菌という仮称で呼んでいる人もいる)がナラの中で繁殖して樹木の水の通路である導管を塞いでしまうことによって、蒸散作用の活発な夏に急激に枯れてしまうということであるらしい。
 このメカニズムはかつて大きな問題となった松枯れと似ていないだろうか? 各地の松林が次々と立ち枯れて行ったことがあった。その原因がマツクイムシだとされて、大々的な殺虫剤の空中散布が行われたことがあった。しかしながら厳密にはマツクイムシという虫は存在せず、マツノザイセンチュウという線虫が木質部で繁殖して導管を塞いでしまうために立ち枯れするということであり、また、この線虫を媒介する昆虫としてマツノマダラカミキリが特定されていた。
 昆虫と菌類(線虫)のペアが原因。従って、対策はこの両者ないし一方を退治すればいい。対症療法としてはそうなる。ただし、カシナガもナラ菌もほとんど木の内部に留まっているので薬剤散布による駆除はなかなか難しい。ドリルで穴を開けて薬剤を注入するという方法が試みられているようだ。

 さて上のように、直接的な原因はカシナガとナラ菌によるものだとしても、なぜいま急に被害が広がったのかという原因(遠因・環境因)はなんだろうか?
 先の地元新聞のキャンペーンでは、気候の温暖化によってカシナガの生息範囲が広がってきた(北上してきた)としていたと記憶するが、全国規模では被害は南から北へ広がっているわけではなく、分布からすると、日本海側に多発しているという捉えかたの方が正確であろう。そうすると、先の宮下正次氏の酸性雪説のほうが説得力がある。
 日本海側(=積雪地帯)の酸性雪によって衰弱し抵抗力が低下しているナラ類(とりわけミズナラ)にカシナガが潜入しナラ菌を繁殖させ、急激に立ち枯れさせる。それが最近のナラ枯れ現象の背後にある環境因なのではないだろうか。
 
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by sumiyakist | 2007-08-25 09:23 | 自然と暮らし