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判決文

 控訴審の判決文の主要部分を掲載する。OCRソフトで読み取ったものなので、まだ校正ミスがあるかもしれない。
 これまでは裁判の文書を掲載するに際して、字詰めをいっぱいまで使っていたのであるが、先行文書の必要箇所を指示するのに「○ページ△行目」と表記することが多いので、判決文の字詰めをそのまま踏襲して、ページと行は原文ままとしておくほうが便利だということが分かった。行末のでこぼこは見苦しいが参照の便利のためということでお許しください。

         名古屋高裁金沢支部判決文

<1〜3ページ>(略)

<4ページ>
(2行略)
第3 当裁判所の判断
1 本件退職手当額の決定手続について
  原判決7頁21行目から8頁23行目までのとおり(ただし,原判決7頁2
 1行目の「によれば」を「及び弁論の全趣旨によれば」と改める。)であるか
 ら,これを引用する。
2 本件条例15条の法204条3項違反の有無         ‘
 (1)法204条は,普通地方公共団体は,その職員に対し,総料及び旅費を支
  給しなければならず(同条1項),また,条例で退職手当等の各種の手当を
  支給することができる(同条2項)とし,その給料,手当及び旅費の額並び
  にその支給方法は,条例でこれを定めなければならない(同条3項)と規定
  し,法204条の2は,普通地方公共団体は,その職員に対し,いかなる給
  与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基かずに支給することができ
  ないと規定し,あいまって,普通地方公共団体が職員に支給する給与等の給
  付に関する条例主義(いわゆる給与条例主義)を定めているが,この給与条
  例主義の趣旨は,①住民の代表である議会の条例制定を通じて,給与体系を
  公明化し,給与等の額等を民主的にコントロールするとともに,②勤労者で
  ある職員に対し,憲法28条が勤労者に対して保障する団体行動権の一部を
  制限する代償として,給与等を権利として保障することにあると解される。
(2)ところで,本件条例(乙1)は,2条1項において,富山県職員(地方公
  営企業法(昭和27年法律第292号)15条1項に規定する企業職員を除
  く。)のうち,常時勤務に服することを要する者(以下「常勤職員」とい
  う。)に退職手当を支給する旨規定し,3条以下において,常勤職員に支給
  する退職手当の額を算出するために必要な事項等を定める一方,常勤職員に
 含まれる知事,副知事及び出納長(以下「知事等」という。)の特別職に対
<5ページ>
 して支給すべき退職手当の額について,その15条において,「知事,副知
 事及び出納長の在職期間に対する退職手当の額は,この条例の規定にかかわ
 らず,議会で議決する額とすることができる。」と規定しているから,本件
 条例は,知事等の特別職の退職手当の額について,他の常勤職員と同様,3
 条以下の規定に従って算出される額とすることを原則としながらも,知事等
 の特別職の地位及び職責の特殊性及び重大性を考慮して,本件条例15条に
 より議会で議決された場合にはこれによることとしているものと解される。
 そして,本件条例には,同条に基づき知事等の特別職の退職手当の額を議会
 で議決する場合において,議会が議決の際に由るべき基準等に関して何ら定
 めるところがないから,その額をどのような額とするかは全面的に議会に一
 任しているものということができる。したがって,知事等の特別職の退職手
 当の額が本件条例15条により議会の議決により定まる場合には,その額を
 条例の規定そのものから直接に確定することができないことは明らかである。
  そうすると,知事等の特別職の退職手当の額を議会の議決により定めるも
 のとして,全面的にその決定を議会の義決に一任する内容の本件条例15条
 は,普通地方公共団体がその職員に支給する手当の額を条例で定めるべき旨
 を規定する法204条3項の文言に適合しない面があることは否定できない。
(3)しかしながら,給与条例主義の趣旨は上記①,②のとおりであるところ,
 本件条例は,上記のとおり,知事等の特別職を含む常勤職員に対する退職手
 当額に関する原則規定を置いた上で,知事等の特別職に対する退職手当額に
 関する特則として,その15条で,その額について議会が議決した場合はそ
 れによる旨定めて,知事等の特別職に支給すべき退職手当の額の決定方法を
 明示していることに加え(したがって,本件15条による退職手当額の支給
 が法204条の2に違反するものではない。),法の規定によれば,知事等
 の特別職の退職手当の額に関して,議会が条例を制定する場合の議決方法と
 条例でこれを義会の議決事項とした場合の議決方法との間には特段の相違が
<6ページ>
 ないことを考慮すると,議会が本件条例15条に従ってその議決により知事等
 の特別職に対する退職手当の額を定めることは,実質的には,議会が知事
 等の特別職に対する退職手当の額を条例をもって定めるに等しいものという
 ことができるから,給与条例主義の趣旨①を満たすものということができる。
 そして,知事は,公選によりその地位に就任するものであって,県という普
 通地方公共団体の執行機関の立場にあるものであるから,知事に支給される
 べき退職手当の額に関しては,給与条例主義の趣旨②はそもそも当てはまら
 ない。そうすると,本件条例15条中の知事の退職手当の額に関する部分,
 すなわち,同条が,知事の退職手当について,その額を直接定めることなく,
 議会の議決により定めることができるとする部分は,法204条3項に違
 反するものとは解されないというべきである。
  もっとも,条例については,条例が公布されることにより,退職手当の額
 が住民に了知され得る状態に置かれ,住民の条例改廃請求(法74条)によ
 り,その内容を修正する余地があるのに対し,議会の議決に与る場合には,
 議案が議会に提出される前の段階でその議案の内容(退職手当の額)を住民
 が了知することはできないことになる。しかし,議会の議員は住民の選挙に
 より選出された住民の代表者であることからすれば,民主的なコントロール
 のもとで退職手当の額を決定しているものといえるのであって,上記差異を
 もって,条例により定める場合の方が,議会の議決による場合より民主的な
 コントロールが及ぶものとまではいいきれない。したがって,上記のような
 条例と議決との相違をもって,本件条例15条が給与条例主義の趣旨①を没
 却するものということはできない。
(4)控訴人らの主張について
ァ 控訴人らは,給与条例主義の趣旨は,義会による民主的統制のみではな
 く,条例改廃請求権の行使等による住民の自治体に対する民主的統制をも
 確保するところにあるとして,本件条例15条は給与条例主義に反する旨
<7ページ>
 主張する。しかし,住民の条例改廃請求の可否の差異をもって,給与条例
 主義の趣旨を没却するものとはいえないことは前記のとおりであるし,仮
 に,控訴人らが主張するとおり,住民の条例改廃請求権の行使等を重視す
 るとしても,住民は,議会の議決する額とすることができるという本件条
 例に対しても,条例改廃請求を行うなどしてその意思を反映させることが
 できたものというべきである。したがって,控訴人らの上記主張は理由が
 ない。
  なお,控訴人らは,当審においてさらに,知事の退職手当の額の決定に
 ついて,議会の議決による場合と条例による場合とでは,住民の条例改廃
 請求(法74条)による内容の修正の余地があるか否か,金額の決定に至
 るまでに住民が予め金額を知ることができるか否か,場合によっては議員
 選挙の争点となって選挙結果に基づき議会による内容の修正が行われる可
 能性があるか否かの点に差異があり,住民によるコントロールの観点から
 は重要な違いがあるから,法が各種の直接民主主義的な制度を規定してい
 る趣旨を考慮すれば,議会の議決と条例とを同視することは,給与条例主
 義に反するとともに,地方自治の本旨(憲法92条)にも反する旨主張す
 る。しかし,条例改廃請求の点については,前記のとおり,住民は,知事
 等の特別職の退職手当の額を議会の議決する額とすることができる旨規定
 する本件条例に対しても,条例改廃請求を行うなどしてその意思を反映さ
 せることができたものである。また,確かに,議会の議決による場合には,
 議案が議会に提出される前の段階でその議案の内容(退職手当の額)を住
 民が了知することはできないが,一方,個々の退職手当の支給ごとに金額
 を議会で議決することは,予め条例で定められた金額が自動的に支給され
 るのに比べ,より住民の関心を惹きやすい面もあるのであって,仮にその
 金額が不当であれば,住民が議員に働きかけたり,あるいは事後の議員選
 挙においてその点が争点となる可能性もあるのである。したがって,知事
<8ページ>
 の退職手当の額の決定を議会の議決によることが,条例による決定に比較
 して,住民によるコントロールの観点から直ちに劣るものと断定すること
 はできず,控訴人らの上記主張は採用できない。
イ 控訴人らは,給与条例主義は,少なくとも知事の場合には,議会と対抗
 関係にある知事の給与等がその都度の議会の議決によって決せられること
 はないことを定めることによって,執行機関と議決機関との抑制と均衡関
 係を図るという統治的意義を有するものであり,本件条例15条は給与条
 例主義に反する旨主張する。しかし,本件条例15条により議会が議決に
 よって知事に対する退職手当の額を定める場合と,その額の算定方式をや
 はり議会の議決により条例で定める場合とを比較しても,前者が後者に比
 して,議会の権限が過大となり,知事と議会との抑制・均衡関係が崩れる
 とまでいうことはできない。したがって,控訴人らの上記主張も理由がな
 い。
  なお,控訴人らは,当審においてさらに,本件条例によれば,議会は自
 由に知事の退職手当の金額を定めることができることになり,議会に対す
 る知事の対応に影響を与え,知事と議会との抑制・均衡関係を崩すもので
 ある旨主張する。しかし,上記1の事実によれば,本件退職手当の額は,
 有識者らによる富山県特別職退職手当検討懇話会において,中沖の知事と
 しての功績や昨今の経済状況等のほか,知事の退職手当の額の算定に関す
 も全国的な状況や富山県における従前の知事の退職手当の額の算定方法等
 も勘案した意見がまとめられ,これを受けて議会により議決されたもので
 あって,議会が上記のような諸条件を考慮しないまま金額を定めたという
 ようなものではないことも考慮すれば,議会が本件退職手当の金額を議決
 により定めることができるからといって,直ちに,知事の立場が弱体化し
 て,知事と議会との抑制・均衡関係を崩すことになるとまでいうことはで
 きず,控訴人らの上記主張も採用できない。
 ウ 控訴人らのその余の主張は,既に説示したところに照らして,いずれも
  採用できない。
<9ぺーじ>
(5)上記のとおりであって,本件条例15条中の知事の退職手当額に関する部
 分をもって法204条3項に違反するものということはできないし,他の給
 与条例主義を定める法の規定に違反するものということもできない。
  そうすると,石井が,富山県知事として,本件条例15条に基づく議会の
 議決で定められた本件退職手当額を本件条例に基づき中沖に支給したことを
 違法ということはできず,また,中沖がこれを受給することには法律上の原
 因がある。

3 結論
 以上によれば,控訴人らの請求は,その余の争点について判断するまでもな
く理由がないから,いずれも棄却すべきである。
 よって,これと同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,こ
れを棄却することとして,主文のとおり判決する。

  名古屋高等裁判所金沢支部第1部

   裁判長裁判官  長   門   栄   吉

     裁判官   沖   中   康   人

     裁判官   加   藤   員   祥
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by sumiyakist | 2007-03-27 22:34 | 知事退職金

控訴棄却

 今日3月26日午後、名古屋高裁金沢支部で前知事退職金裁判の判決言い渡しがあった。昨日の能登半島地震の余震もおさまらず、ニュースもまだ地震報道に時間を割いているような、いわわば「非日常」の雰囲気がある。オンブズ小矢部のメンバーも、議員は緊急に開かれた委員会に出なければならなかったり、別のメンバーも、やはり地震に伴う職場の都合で傍聴に来られなくなったりして、原告3人を含め数人だけで出かけることとなった。
 法廷の記者席も、地震報道に人員を振り向けているせいか、いつもより少なめであった。被告の県側は代理人も県職員もひとりも姿を見せなかった。(もっとも、こちらは地震のせいかどうかわからないが。)
 小さな聞き取りにくい声で読み上げる長門栄吉裁判長の判決は、「控訴棄却」であり、判決理由の朗読は省略したので数分(朗読そのものは数十秒だったかもしれない)でおわった。
 棄却は「想定内」であって、先の例会でも話し合っていたから、廊下に出て記者に問われれば、「上告するつもり」と答えて、みんなで書記官室に判決文を取りにいった。
 判決文は後ほど載せるつもりであるが、ざっと読んだ印象では、ほとんど富山地裁の判決をなぞったようなものである。
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by sumiyakist | 2007-03-26 22:06 | 知事退職金

控訴審開始、即結審

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 今日1月15日、控訴審の第1回公判が開かれた(上の写真は名古屋高裁金沢支部=金沢地裁入り口での記念撮影。中の3人が原告)。ただし、あとで述べるように即日結審し、3月26日の判決を待つこととなった。
 意見陳述をするために、原告(正確には「控訴人」というらしい)のうち石山さんと私の2人は、それぞれかなりの時間と精力を投入して陳述原稿を作った。これまででも書いたように署名も、協力してくれる団体の力も得て、444筆を得た。これも、今日、裁判所に提出した。
 というわけで、身銭を切り、自分たちの体と時間を使ってやるオンブズ運動=「世直しボランティア」としては相当の努力をしたつもりだ。
 さて、その控訴審であるが、市民オンブズ小矢部のメンバーから6人、富山からの傍聴者が(県側を別にして)、分かった範囲で3人、金沢からの応援傍聴者が2人以上。その他、マスコミの記者やらで傍聴席は7〜8割埋まっていた。
 既に提出されているわれわれからの控訴状とそれに対する県側の反論である答弁書に加えて、青島弁護士が書いてくれた準備書面(答弁書に対する反論)を提出し、控訴人の口頭での陳述が行われたわけである。陳述内容は下の「続きを読む」に掲出するが、2人の陳述が終わったところで、なんと、長門栄吉裁判長は結審を宣告!
 これには、予想もしていなかったから、一瞬声もでなかった。裁判長はもう判決言い渡し日を告げてている。気を取り直して考えると、あまりにも粗雑かつ横暴な訴訟指揮ではないかと思ったが、あとの祭りである。なんだかペテンにかけられた気分である。
 後で確認すると、午前中に同じこの法廷で、このブログでも紹介した「市民オンブズつばた」が提訴している(第1審では勝訴判決を取った)公共事業談合裁判の控訴審判決が出ていて、これは逆転敗訴したとのこと。ニュースでも報じている。
 ということは、この長門栄吉裁判長は、金沢地裁で井戸謙一裁判長が出した画期的な3つの判決、志賀原発差し止め訴訟での原告(市民側)勝訴判決、住基ネット違憲訴訟の原告勝訴判決、そして市民オンブズつばたの原告勝訴、を次々にひっくり返すという役割を演じているわけだ。なるほど要注意人物である。
(1/16追記)志賀原発差し止め訴訟はまだ審理中である。しかし、このぶんでは、これも危ない。
 さて、今日は以下に私の意見陳述原稿を載せる。
 

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by sumiyakist | 2007-01-15 22:14 | 知事退職金