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事故米・汚染米

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c0068917_22192211.jpg  三笠フーズなる会社が非食用の汚染米を食用の米の販売ルートへ流していたことが発覚してさまざまな報道がある。この汚染米のマスコミ報道を見ていて、いつもながらマスコミのピントはずれぶりに腹立たしい思いをしている。センセーショナルに事件を取り上げ不安を煽ることはするが、表層のことだけをあれこれ報道するだけで、根本の原因や深層の事実にはまったく迫ろうとしないからである。(そのピンぼけぶりは、わざとピントをはずすことで情報操作をしているのではないか、と疑うほどである。)

 どこそこの会社へ流れた、どこでどんなふうに使われた。やれ施設で食べられた、やれ給食にも使われた、と、世間の視線をいわゆる川下へ誘導するばかり。マスコミの情報操作だと私がいうのはそういうことだ。
 この非食米が、なぜ、どのように発生し、なぜ、どのように食用米のルートに流れていくのか、それを追及することこそが報道の役割だと思うのだが、むしろ、マスコミはそういう関心から目をそらせる役割をしている。
 喜んでいるのは誰か? 農水省の役人とそれにつながる非正規米流通の中枢にいる業者だろう。川下に関心が拡散している限り、自分たちの「悪行」に世間の関心が集まることはない。人の噂も75日。いずれまた別の事件が起こってマスコミ報道の中心がそちらに移ればたいていの人びとは事故米のことは忘れてくれる。

 やっと、今日(9/28)になって朝日が詳細な調査記事を出した(上の写真)。1ページの1/3ほども使った大きな記事ではあるが、先に述べた通りのことしかしていない。天下の朝日にしてこの程度の追及しかできないのかと、いささかがっかりした。

 私は、たんなる憶測で役人と業者の悪口を言っているのではない。汚染米と聞いて、カドミウム米の扱い方のことを思い出したからだ。ずいぶん昔の、まがりなりにも食管法が残っていた時代のことであるが、以下に述べるような構造は今もそう変わってないだろう。

 よく知られるように、富山県はカドミウム汚染米の「本場」である。富山市・婦中町とその周辺で多発したイタイイタイ病は、神通川上流の神岡鉱山からのカドミウム排出がその原因であるとされ、水俣病・四日市ぜんそくとともに三大公害病のひとつとされる。
 そのカドミウムによって土壌がひどく汚染された水田は、地盤をそっくり入れ替えたり(客土)、埋め立てて宅地や工場用地や公園にしたりしているが、汚染の程度によってはそのまま稲作を続けているところもある。
 カドミウム含有が1PPM以上のコメは政府が買い上げて焼却することになっている。0.4PPM〜1PPMのコメは、同じく政府が買い上げるが(今は<社>米麦改良協会という天下り団体が買っている)、これは非食用として工業原料(ノリ)にされることになっている。この仕組みは現在の事故米と同じである。
 焼却については、どのようにそれを確認する仕組みがあるのか、私はしらないが、工業原料にされるはずの低汚染米が、実際はどのように扱われていたかを、たまたま私は目撃したことがある。平成米騒動として有名になった川崎磯信氏の「闘争」に応援団として関わっていて、少しコメの流通の仕組みとその実態とを見聞した過程でいわゆる「カドミウム米」の姿を見たことがあるからである。
 それは、まったく普通のコメと同じ30キロ入りの紙袋に玄米で入れられていて、ただ一点普通のコメと違うのは、縛られた結び目に紫色の荷札が付けられていたことである。つまり、その細い針金で括り付けられた荷札を取ってしまえば、見た目にはまったく普通の食用米を見分けはつかないということである。科学分析してみなければ、素人はもちろんプロが見てもそれがカドミウム米だとは分からない。
 買い上げ価格は、今はいくらで買いあげているかしらないが、生産農家には食用米と同程度の金額を公費から補填して支払っているはずだが、仕入れ価格(簿価)としては非食米としてであるから格段に安いのである。当然業者への販売価格も安い(このあたりも事故米やミニマムアクセス米と同じ)。
 そのコメが、紫色の荷札さえ外してしまえば普通のコメと見分けがつかないとなると、食用米に流れてゆくのは、当然といえば当然のこと。そのコメを横流しする仕組みも整っているのだから、利に聡い業者なら手を出さない方がおかしい。
 猫の目の前に鰹節を置いておいて、「ダメ」といえば猫が言うことをきくものとして(性善説を信じて)監視しないのである。これは行政の落ち度だろうか? そうではなくて、故意に猫に鰹節を盗らせるための仕組みを採用していると考えねばなるまい。
 今回の事故米についても同様のことが起きている。非食米(工業原料)なら着色してしまうとかの、食用に転用されない方法を採ることもできるのに、敢えて(故意に!)行政はその方法を退けている。つまり、猫の前に鰹節を置きっぱなしにしているのである。
 
 規制緩和で誰でもが参入できるようになったから不正が起きたと農水省は言い訳をしているが、とんでもないことだ。食管法があるときにはもっと大々的に、政界もからんで闇の部分が存在していたと考えられる。
 不正が起きて当然の仕組みを敢えて作っているから、起きるべくして不正は起きる。そこには不作為でなく、何らかの「作為」があると考える方が当たり前である。朝日の見出しを使えば、「安全網に穴は故意に開けられている」のである。
 
 なお、カドミウム米は(富山が「本場」であるが)、鉱山とは関係のないと思われる全国の多くの水田でも収穫されている。(ニッカド電池の廃棄が原因という説も言われているが、私にはそれを判断する材料はない。)平成19年度の0.4〜1.0PPM汚染米の買い上げ数量は2400トン。ノリにされていることになっているが、ノリ業界では原料にコメを使うことはほとんどないという奇怪な話がある。

 ともかく、朝日新聞のいっそうの奮起を促しておこう。まっ、あまり期待はしないが。




 
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by sumiyakist | 2008-09-28 22:36 | マスメディア