タグ:価値観 ( 1 ) タグの人気記事

品川正治講演会

c0068917_8311152.jpg

 11月3日は「文化の日」ということになっているが、じつは戦前レジームでは「明治節」すなわち、明治天皇の誕生日であった。
 1946年(昭和21年)11月3日に「日本国憲法」が公布された。時の政府ないし国会がこの日を選んだ経緯はつまびらかでないが、わざわざ明治節に新憲法の公布をぶっつけるというのは、いろいろな思惑があったのだろう。(よく知られているように、この新しい日本国憲法は旧憲法たる帝国憲法の「改正案」として帝国議会に提出され成立したものである。)

 この日の日経新聞の1面コラム「春秋」では、新憲法を記念する祝日「憲法記念日」選定のいきさつについて触れている。それによると、衆議院が施行日の5月3日(昭和22年)を選んだのに対して、参議院議員である作家・山本有三氏は公布日であるこの11月3日を強く主張したという。結局GHQが介入して明治節を憲法記念日にするということにはならず、「文化の日」という名で祝日となったという。

 というわけで、憲法「公布」記念日ともいうべきこの日に、9条の会・富山などの主催で品川正治氏の講演会「これからの日本の座標軸〜財界人の直言」という講演会が開かれた。品川氏は元興亜損保社長・会長であり、また経済同友会の副代表幹事や専務理事も務められたという財界人である。財界といえば改憲派の見解ばかりがメディアなどで取り上げられがちであるなかで、憲法9条堅持を強く主張する硬骨の経済人として知られている人物である。

 1924年(大正13年)のお生まれだから83歳になられる。旧制三高を卒業するかせずかの頃に招集され訓練もなく(ただ死にに行くために)中国大陸の戦線に送られたご自身戦争体験から話を始められた。敗戦後の復員船の中でよれよれの新聞に載った新憲法案、とりわけ戦争放棄の条文を読んで涙が止まらなかったこと、国家が引き起こす戦争とそれに巻き込まれる国民という関係について根本的な反省(戦争は起こそうとする人間がいるから起こる。したがって、天災ではないから人間の力で止めることができる)をしたこと…。よどみなく話される言葉には体験と信念に裏打ちされた説得力がある。
 戦争を「人間の目」で見ること、それはまた、現在の経済界を席捲している市場原理主義についても同じことで、やはり「人間の目」で見るべきことを説かれる。

 そのほか、実に多くのことを整然かつ諄々とお話しされたが、演題である「これからの日本の座標軸」ということに引きつけて考えると、次のようなことが結語的中心軸だろうか。
 すなわち、昨今の政治家などがほとんど慣用句のように用いる、「日本とアメリカとが価値観を共有している」という言葉に対して徹底的に異を唱えて、戦争国家アメリカと戦争を放棄している日本とでは全く価値観が違うのだということをはっきりと認識すべきだし、そこからすべてを組み立て直すべきだ。そうすれば、アメリカを変えさせ世界を変えることが出来るのだと。
 これは、全く同感。
[PR]
by sumiyakist | 2007-11-04 10:19 | 憲法・教育基本法