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改めてカドミウム米

 今日7日の午前中、炭焼き小屋で炭出しをしながらラジオで国会中継を聞いていた。事故米がなぜ食用として流通したのかと追及する民主党の筒井信隆氏らの質問に対して、石破農水相が答弁していた中に、「カドミウム米は着色していた(だから問題は発生していない)が、事故米の方は(コストがかかるので)着色をしてこなかった」という趣旨の発言が、2〜3度繰り返された。新聞報道でも、事故米は着色していなかったが、カドミウム米は着色しているものと報じられているから、同じソースから出ているのだろう。 例えば日経新聞ウエブ版は次のように報じている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜以下転載〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     事故米、コスト抑制で着色せず 農水省、不正転売の横行招く(見出し)
 カビ毒や残留農薬で汚染された「事故米」の不正転売問題で、食用への転用を防ぐ事故米の着色加工を、農林水産省がコストを抑える目的から実施を見送っていたことが19日、分かった。2006年に輸入米の残留農薬基準が設定された後も安全対策を軽視したことで、流通過程での事故米判別が困難な状況となり、結果的に不正転売の横行を許すことになった。
 食用に適さない米の転用防止として、農水省はカドミウムが含まれた米は赤く染めている。1970年以降、0.4PPM以上、1.0PPM未満のカドミウムが含まれたコメについて、工業用のりなどに加工することを条件に販売。最近5年でも年間1200—2400トン程度のカドミウム米が発生しているが、すべて着色されている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜転載終わり〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  しかし、本当に「カドミウム米はすべて着色されている」のか? 疑えば疑うことが出来るのである。以前の朝日の記事の見出しに「性善説前提うんぬん」とあったが、コメ流通業者(や監督の役人)は悪いことをしないという性善説に立って考えれば、集荷されたカドミウム米は砕米にされベンガラで着色されて工業原料になって糊業者に卸されていたということになるだろう。しかし、これまでの歴史からしてこの業界はそんなに甘い業界ではない。百鬼夜行の世界とも言うべきであるというのが私の印象である。まず、商人が必ずしも性善でないのは当然として、監督すべき農水省の役人も、それをまた見張るべき政治家も、主要な3者がそろって危ない存在だからだ。(ルートの両端に位置する農家と消費者はこれら3者に比べると圧倒的に「性善」である。)
 かつて川崎磯信氏は、米流通の監督を(いまはなき)食糧庁でなく警察庁に移管すべきだと主張していた(笑)ことがあるが、じっさい、性善説に立つよりも、「人を見たら泥棒と思え」原理によって行動する警察人の方がコメ管理には向いている。
 何が言いたいのかといえば、コメのすり替えや転用などが(監督官庁黙認下で!)日常茶飯事の業界で、砕米・着色がルール通りに行われている保証は何もないということである。
 カドミウム米といえども、刈り取って脱穀・袋詰めするまでは他のコメと同じで、最終的には30キロ入りの紙袋に玄米で入れられるが、ただ違いは結び目に紫色の荷札が付いているだけであることは前に書いた。それが農協によって集荷されて加工業者の工場へ運ばれて砕米・着色されるのであるが、その経路で他の品質の悪い安いコメ(クズ米とかいま問題になっている事故米・汚染米)にすり替えたり代用したりすることはいくらでも出来るのである。つまり、安いコメを買い入れて、それを砕米・着色米にして工業用に回し、その分のカドミウム米を食用に転用することは訳ないのである。
 質問した筒井議員も答えた石破農水相も、カドミウム米が砕かれ着色される現場の仕組みを確認した上で、適正に処理されていると判断しているようには思えない。にもかかわらず、そのことを前提にして質疑をしているのを聞いて、所詮は「知らぬがホトケ」の絵空事の国会審議であることよと感じた次第だ。

毎日新聞の記事を以下に転載しておこう。これをどう読むか。
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事故米食用転売:「すべて工業用に加工、販売」沼田製粉、農水省の点検で /富山
 ◇小矢部

 「三笠フーズ」(大阪市)の事故米転売問題で、農林水産省は、国から事故米を購入した沼田製粉(小矢部市津沢)など全国16社の緊急点検を始めた。同社の砂田幸信副社長は「事故米はすべて工業用に加工、販売した。三笠フーズとの取引もなく、同一視されるのは迷惑だ」と語った。

 同社は天保元(1830)年創業。製粉・製めん、飼料製造のほか、工業用接着剤の製造も行っている。約35年前から、国が発注するカドミウム汚染米の加工を請け負ったことがきっかけで、でんぷんを接着・コーティング用の「粘結材」に加工する技術を開発。特許も取得している。

 同社によると、販売用接着剤の原料は、従来、ライ麦を使用していた。穀物価格の高騰を受け、農水省が入札を行っていた事故米に着目。昨年1月に初めて入札に参加し、同年夏ごろまでに3回計約500トンを落札した。特許技術を用いて加工し、県外の金属メーカーにすべて販売した。

 カドミウム汚染米加工の際は、北陸農政局職員が立ち会い、帳簿もチェックする。事故米加工の際、タンクはカドミウム汚染米とは別だが、加工機械は同一のため、あらかじめ同農政局に相談。カドミウム汚染米と合わせて、事故米の帳簿の点検も受けたという。事故米の入札価格が高騰し、今春以降は入札に参加していない。

 砂田副社長は「粘結材も、間接的にでも人が口にする製品に使われないか厳しくチェックして取引している。農水省もすぐ理解してくれるだろう」と話していた。【江田将宏】

毎日新聞 2008年9月9日 地方版
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜転載終わり〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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by sumiyakist | 2008-10-07 23:44 | マスメディア

事故米・汚染米

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c0068917_22192211.jpg  三笠フーズなる会社が非食用の汚染米を食用の米の販売ルートへ流していたことが発覚してさまざまな報道がある。この汚染米のマスコミ報道を見ていて、いつもながらマスコミのピントはずれぶりに腹立たしい思いをしている。センセーショナルに事件を取り上げ不安を煽ることはするが、表層のことだけをあれこれ報道するだけで、根本の原因や深層の事実にはまったく迫ろうとしないからである。(そのピンぼけぶりは、わざとピントをはずすことで情報操作をしているのではないか、と疑うほどである。)

 どこそこの会社へ流れた、どこでどんなふうに使われた。やれ施設で食べられた、やれ給食にも使われた、と、世間の視線をいわゆる川下へ誘導するばかり。マスコミの情報操作だと私がいうのはそういうことだ。
 この非食米が、なぜ、どのように発生し、なぜ、どのように食用米のルートに流れていくのか、それを追及することこそが報道の役割だと思うのだが、むしろ、マスコミはそういう関心から目をそらせる役割をしている。
 喜んでいるのは誰か? 農水省の役人とそれにつながる非正規米流通の中枢にいる業者だろう。川下に関心が拡散している限り、自分たちの「悪行」に世間の関心が集まることはない。人の噂も75日。いずれまた別の事件が起こってマスコミ報道の中心がそちらに移ればたいていの人びとは事故米のことは忘れてくれる。

 やっと、今日(9/28)になって朝日が詳細な調査記事を出した(上の写真)。1ページの1/3ほども使った大きな記事ではあるが、先に述べた通りのことしかしていない。天下の朝日にしてこの程度の追及しかできないのかと、いささかがっかりした。

 私は、たんなる憶測で役人と業者の悪口を言っているのではない。汚染米と聞いて、カドミウム米の扱い方のことを思い出したからだ。ずいぶん昔の、まがりなりにも食管法が残っていた時代のことであるが、以下に述べるような構造は今もそう変わってないだろう。

 よく知られるように、富山県はカドミウム汚染米の「本場」である。富山市・婦中町とその周辺で多発したイタイイタイ病は、神通川上流の神岡鉱山からのカドミウム排出がその原因であるとされ、水俣病・四日市ぜんそくとともに三大公害病のひとつとされる。
 そのカドミウムによって土壌がひどく汚染された水田は、地盤をそっくり入れ替えたり(客土)、埋め立てて宅地や工場用地や公園にしたりしているが、汚染の程度によってはそのまま稲作を続けているところもある。
 カドミウム含有が1PPM以上のコメは政府が買い上げて焼却することになっている。0.4PPM〜1PPMのコメは、同じく政府が買い上げるが(今は<社>米麦改良協会という天下り団体が買っている)、これは非食用として工業原料(ノリ)にされることになっている。この仕組みは現在の事故米と同じである。
 焼却については、どのようにそれを確認する仕組みがあるのか、私はしらないが、工業原料にされるはずの低汚染米が、実際はどのように扱われていたかを、たまたま私は目撃したことがある。平成米騒動として有名になった川崎磯信氏の「闘争」に応援団として関わっていて、少しコメの流通の仕組みとその実態とを見聞した過程でいわゆる「カドミウム米」の姿を見たことがあるからである。
 それは、まったく普通のコメと同じ30キロ入りの紙袋に玄米で入れられていて、ただ一点普通のコメと違うのは、縛られた結び目に紫色の荷札が付けられていたことである。つまり、その細い針金で括り付けられた荷札を取ってしまえば、見た目にはまったく普通の食用米を見分けはつかないということである。科学分析してみなければ、素人はもちろんプロが見てもそれがカドミウム米だとは分からない。
 買い上げ価格は、今はいくらで買いあげているかしらないが、生産農家には食用米と同程度の金額を公費から補填して支払っているはずだが、仕入れ価格(簿価)としては非食米としてであるから格段に安いのである。当然業者への販売価格も安い(このあたりも事故米やミニマムアクセス米と同じ)。
 そのコメが、紫色の荷札さえ外してしまえば普通のコメと見分けがつかないとなると、食用米に流れてゆくのは、当然といえば当然のこと。そのコメを横流しする仕組みも整っているのだから、利に聡い業者なら手を出さない方がおかしい。
 猫の目の前に鰹節を置いておいて、「ダメ」といえば猫が言うことをきくものとして(性善説を信じて)監視しないのである。これは行政の落ち度だろうか? そうではなくて、故意に猫に鰹節を盗らせるための仕組みを採用していると考えねばなるまい。
 今回の事故米についても同様のことが起きている。非食米(工業原料)なら着色してしまうとかの、食用に転用されない方法を採ることもできるのに、敢えて(故意に!)行政はその方法を退けている。つまり、猫の前に鰹節を置きっぱなしにしているのである。
 
 規制緩和で誰でもが参入できるようになったから不正が起きたと農水省は言い訳をしているが、とんでもないことだ。食管法があるときにはもっと大々的に、政界もからんで闇の部分が存在していたと考えられる。
 不正が起きて当然の仕組みを敢えて作っているから、起きるべくして不正は起きる。そこには不作為でなく、何らかの「作為」があると考える方が当たり前である。朝日の見出しを使えば、「安全網に穴は故意に開けられている」のである。
 
 なお、カドミウム米は(富山が「本場」であるが)、鉱山とは関係のないと思われる全国の多くの水田でも収穫されている。(ニッカド電池の廃棄が原因という説も言われているが、私にはそれを判断する材料はない。)平成19年度の0.4〜1.0PPM汚染米の買い上げ数量は2400トン。ノリにされていることになっているが、ノリ業界では原料にコメを使うことはほとんどないという奇怪な話がある。

 ともかく、朝日新聞のいっそうの奮起を促しておこう。まっ、あまり期待はしないが。




 
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by sumiyakist | 2008-09-28 22:36 | マスメディア