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行政訴訟をする意味

 中沖前知事退職金については市民オンブズ小矢部のメンバーで裁判をしているが、私個人としては、その他にも、志賀原発に対する訴訟(北陸電力に対する民事訴訟。1号機以来、現在は2号機の差し止め)や自衛隊イラク派兵違憲訴訟などにも原告として関わっている。
 それらの裁判は、すくなくとも私に関しては、日本の司法=裁判所を全面的に信頼して裁判所の判断を仰いでいるというわけではない。このブログの中でも折にふれて述べてきたが、むしろ、司法を信頼できないからこそ裁判を起こしているといったほうがいい。
 すなわち、現代日本において、とりわけ行政相手の裁判を提起するのは、私にとっては次のような理由による。
1.裁判を起こすことによって問題を「社会的事件化」し、マスコミなどを通じて世論を喚起する。
2.裁判を継続することによって、運動自身の継続を図る。
3.司法に(裁判官ひとりひとりに)対して、「法と良心にのみ従って」行動するべきであること教育する。
4.良質の裁判官と腕前のいい代理人=弁護士のめぐり合わせという、よほどの幸運に恵まれれば、勝訴判決を得て、司法の判断を求めるという裁判本来の目的を達することができる。

 3についてはすこし説明がいるかもしれない。裁判官は、とりわけ行政訴訟にかんしては、「法と正義」を看板にしながらも、最高裁事務総局を頂点とする司法行政の中で権力支配機構に組み込まれており、自己保身のゆえに行政よりの立場に身を置かざるをえない環境にある。そういう裁判官に対して、常に「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」(憲法第76条)を呼び覚まさせる活動こそ市民的立場からの行政訴訟であるといってもいい。
 つまり、司法をあるべき姿にするよう裁判官を啓発するために訴訟を提起するということである。「市民オンブズ運動は世直しのボランティア運動です」というのが市民オンブズ富山を立ち上げたときのスローガンであるが、そのでんで言えば、「行政訴訟は司法を監視し正すためのボランティア運動」でもある。
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by sumiyakist | 2007-02-25 21:05 | 知事退職金

反論(第1準備書面)

 控訴審でのわれわれ側の主張である控訴状への補充と、相手側(県側)が出してきた反論(答弁書)に対する反論を含めて、公判当日に第1準備書面として提出した。青島弁護士が書いてくれたものである。(これに対する再反論を県側がしないということで、公判は結審したわけである。)
 その主要部を掲載する。論点を掲げるのに判決文などの当該箇所を記号だけで示しているのでやや分かりにくいかもしれないが、お許しを願う。
                 *

第1 控訴理由の補充−原判決の問題点
1 第3,1,(2),イ項及び(3)について
  原判決は,「昨今の経済状況等をもある程度考慮した額であるということができ,これをもって社会通念上許容しうる限度を超えて著しく不当に高額であるとは,にわかに断定することはできない」と判断している。そして,その前提事実として第3,1,(2),ア,(イ)で富山県特別職退職手当検討委員会での意見が上げられており,この委員会での検討内容及び意見の内容を知ることができる証拠は乙2号証及び同3号証のみである。
  ところで,知事の退職手当の額の相当性を検討するには,支給時の経済状況や全他の都道府県及び富山県の歴代の知事に対する支給状況も重要な要素であるが,何よりも当該知事の在任中の実績,県政への功罪が,それと同等又はそれ以上に重要な要素であることは言うまでもないものであるところ,上記意見や証拠から見られる検討内容の中には他都道府県における知事在任中の財政状況の変動はもとより,富山県における知事在任中の財政状況の変動も全く含まれておらず,退職手当額を定める上で最も重要な要素が全く踏まえられないで決定されたことが認められる。
  この点についての中沖知事は,その在任中に県の借金と言える県債残高を8000億円も増やし,単年度でも400億円の赤字財政という状況に富山県を陥らせたものであり,通常の民間の場合には私財の投入が求められるような結果を残したものである。
  したがって,このような状況を検討すれば,判決の判断とは逆に「社会通念上許容しうる限度を超えて著しく不当に高額であると」容易に断定することが出来たものであり,原判決の上記判断は失当であり,これを前提とする(3)の判断も同様に失当である。

2 第3,1,(4)について
  原判決は,「住民は,議会の議決する額とすることができるという本件条例に対しても,条例改廃請求を行うなどしてその意思を反映させることができたものというべきである」として,住民の自治体に対する民主的統制の確保に関しての給与条例主義違反の控訴人らの主張は理由がないとする。
  たしかに,住民は本件条例に対して意思反映の機会はあったことは認められる。
  しかし,住民の権利の保障という観点から見れば,本件条例の不備に対する住民の意思と,その条例によって議会の議決で定められた退職手当の額に対する住民の意思とは別のものであり,前者の表明の機会が認められるからと言って後者の表明の機会を認められなくてよいという関係にはない。
  また,現実的な住民の権利行使の容易性という観点では,議会で妥当な金額が決定されれば住民としては条例の不備という抽象的な点に対して特段の意思を持つ者は多くないと見られるのに対して,不当な額が決定されれば,金額に対しても,また,そのような結果をもたらした条例に対しても問題を感じる者が多くなると見られる。この違いは現実的な住民の権利行使の点では重大である。
  したがって,原判決の,住民の自治体に対する民主的統制の確保に関しては問題がないとして控訴人の主張を理由がないとした上記判断は,これらの点に対する考慮を欠き,失当である。

第2 被控訴人の答弁書における主張に対する反論
1 答弁書第2,2項(4)について
  被控訴人は,住民は本件支出当時の富山県職員退職手当支給条例では具体的な額を知ることは容易ではないとの前提で主張している。
  しかし,一般職員の場合は格別,知事の場合は,その給与については新聞で報道される等して公開されており,条例で支給率が定められていればこれを乗じて容易に金額を予測することができるのであり,被控訴人の主張は前提を誤っており失当である。
  また,住民の条例改廃請求権の行使は,住民の一定割合の署名の収集が必要であり,このため準備期間及び収集期間が必要となるため,現実にこの権利を行使するには具体的な退職金額が決められ,住民がこれを知ることができるようになってから相当期間が必要となり,事前に支給率が定められている場合と比べ議会の議決で金額が定められ他本件処分の場合には,その権利行使に格別の困難の度が増す。
  さらに,被控訴人は議会の議員への働きかけを云々するが,その本質は単なる要請に過ぎず,条例改廃請求権の行使と同列に扱うことはできないし,住民側の手段が奪われること自体も問題である。
  また,次回選挙への反映を主張する点については,支給後のことで,後の祭りであり,さらに効果が少ない。

2 答弁書第2,2項(5)について
被控訴人は,具体的な退職金額が決まった後議決の当否が選挙の争点になる可能性と算定方法だけを決めた条例の適否が選挙の争点になる場合を比較して主張をしている。
  しかし,知事は任期切れが近づいて再度立候補することがあり,退職するかどうかが決まるのは通常任期切れ近くになってからとなり,本件処分のように具体的な退職金額が決まるのは支給直前となることが多い。また,知事側としては高額な金額とする場合には選挙の争点となることを避けたり,決定と支給との間に選挙を挟んだり,時間を置くことを避けることが容易である。したがって,具体的な退職金額を選挙の争点とすることを容易に避けうるので,被控訴人の主張は希有な事態を前提としたものとなる。
  また,算定方法を定める場合には,いつでもそれ以後の県政のために改廃請求の機会があるのに対して,金額で定める場合では常に不相当の金額が決められるとは限らないため,必ずしも問題点が顕在化するとは限らず,退職金額に対する住民のコントロールの観点からすると,そもそも同一のものとして比較すること自体が失当である。以上
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by sumiyakist | 2007-02-14 22:27 | 知事退職金

市長申し入れ

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 今日2月5日、小矢部市の新市長・桜井森夫氏に対して、市民オンブズ小矢部としての要望書を手渡して申し入れを行った。テーマは三つ。公共事業入札の談合防止、市長交際費の透明化、市議会議員の政務調査費の使途の透明化など。
 上の写真は市長応接室での申し入れの情景。正面が桜井市長。左右はオンブズ小矢部のメンバー(撮影者は砂田市議)。
 文書にもあるが、桜井氏は退職金の辞退や市長専用車の廃止などを公約に掲げて立候補し、専用車についてはいまのところは使わずに公務を行っている。
 以下に要望書の本文を載せる。
               *  
 小矢部市長就任をお祝い申し上げます。
 先の市長選挙に当たって、市長の退職金辞退、市長専用車の廃止、公共事業の見直し等を公約され、さっそく一部実施に移されました。これらはかねてより市民オンブズ小矢部でも主張してきたことでもあり、私たちも評価しています。                                                             
 私たちは、市民の目で税の使われ方を監視し、不正・不当な支出に対して是正を求める活動をしている市民グループです。新市長のご就任に当たり、下記の3点を要望致します。ご多忙のこととは存じますが、おおむね1ヶ月以内にご回答たまわりますよう、よろしくお願いたします。
                   記
1 談合防止対策について    
小矢部市でも公共工事予定価格に対する契約額(落札率)が、ほとんどの工事について99〜96%となっています。落札率95%以上は、全国市民オンブズマン連絡協議会によれば「談合の疑いがある」工事契約です。公正な入札が実施された場合は、75%〜85%に低下するといわれています。
 また、ほとんどの入札が1回で上記のような落札結果になっており、このような工事契約では、現在、全国的に問題になっている官製談合事件と類似しており、「小矢部市も官製談合しているのでは」との疑惑をもたれても致し方ありません。
 公共事業費の総額が縮小しているおりから、談合をやめさせることによって、工事費を2割削減することができれば、その予算で2割がた多くの事業を行うことができ、市民のために利益となります。
 そのために、談合の温床となっている「指名競争入札」を取りやめ、会計法・地方自治法に定められている「原則として一般競争入札」を取り入れ、公正な入札が行われやすい体制にすること、また、随意契約についてもそのような観点から見直すことを要求します。
2 市長交際費の全面的な情報公開と削減について
前市長に対して、平成16年に市長交際費の全面的な情報公開請求を行い、不適正な支出を是正するよう求めました。また、市報やホームページで使途の具体的な公開を求めましたが、抽象的に件数・金額のみの公開しかされませんでした。改めて支出基準を明確にし、具体的な使用明細をホームページで公開すること、また、さらなる削減をすすめることを要求します。
3 市議会との関係について
 予め書かれた質問と答弁をただ読み上げるだけに終始する日本の議会のことを片山義博・鳥取県知事は、学芸会と批評し県議会に改善を提案し実行しているようです。しかし、多くの自治体の首長と議会の関係は、依然として馴れ合いになり厳しい論戦をすることもないようです。
新市長には、市長と議会が緊張関係をもって切磋琢磨するような、あるべき姿を追求していただきたい。真剣に「筋書きなしの議論」を戦わすことによって、議員の力もフルに引き出して市民の福祉向上を図って頂きたい。
また、議員に支給されている政務調査費については、議員には公費であるとの認識をいっそう確かなものしていただき、使途に対する明確な基準を定め、それを示す領収証などの帳票を提出させるなど、制度を整えていただきたい。
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by sumiyakist | 2007-02-05 23:46 | 地方自治

NPO認証

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 富山県でのオンブズ運動の嚆矢となった「市民オンブズ富山」が、昨年暮れにめでたくNPO法人の認証を得た。NPO法については、個人的には疑問に思うところも多いのであるが、法人格を得たことで、行政と対等に渡りあえる気分にもなるし、特定NPO法人になることが出来れば、寄付を受ける場合に寄付者が免税措置を受けることができるということで、活動費が集まりやすいという実利もあるらしい。
 ということで、祝賀会を開こうということになり、今日2月4日(日)の午後、定例会を兼ねて祝賀会を行った。久しぶりに顔を合わせたメンバーもいたりして、創立当時の様子を思い出したことであった。上の写真は祝賀会場の看板である。
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by sumiyakist | 2007-02-04 21:14 | 知事退職金