ゴジカラ村ってな〜に?

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 10月4日(土)の午後、 愛知県長久手町のゴジカラ村から「村長」の吉田一平氏を招いて、私もメンバーの一人であるところの「まちの福祉しらべ隊」が主催する講演とシンポジウムが高岡駅前のウイングウイングで開かれた。
「ゴジカラ村」というのは、幼稚園2園のほか、デイサービス・特養・グループホーム・ケアハウスなどの高齢者福祉施設、訪問介護・訪問看護などの事業から、看護師・介護士養成の専門学校、宿泊施設などを運営する福祉の総合商社ともいうべき存在である。「もりのようちえん」「ぼちぼち長屋」「ほどほど横丁」などの施設の名称がそれぞれ吉田氏の思想を表していておもしろい。
 「しらべ隊」のメンバーがこの春に見学に出かけて、森の中に点在する木造の施設群を実見し、吉田氏にその経営方針などを聞いたことがあった(私は参加できなかったが)。
c0068917_20211468.jpg 吉田氏は、30数年前、務めていた商社を辞めて、開発で失われてゆく森を守る方法として幼稚園を開設し、次第に老人ホームなどの福祉事業に関わることになった経緯を話した。(氏のお父さんは以前、長久手町の町長をなさっていたというが、もともと農地や山林を所有している大きな農家であったらしい。これは私の推測)
 氏は、用意してこられたパワーポイントの映像などお構いなしに、これまでの事業の概略や運営の理念などを次々と語る。ちなみに、氏は「パソコンはやらない」のだそうだ。資料映像はたぶん、講演用にスタッフが作ったものなのだろう。

 雑木の山を残す方策を考えたことから氏の事業がスタートしたことが象徴するように、氏の愛する言葉は「雑」であり「混ざる」である。そして「ほどほど」「いいかげん」である。目指すべきは「時間に追われない生活」である。
 近代システムの、効率的な、企業的な方法論とは対極的な考えであるが、ある自動車メーカーの研究開発部門が、30年後の暮らしのテーマを模索していて「ゴジカラ村」に行き当たり、注目されたことがあることなども話していた。

 雑木林の中の木造の施設(古民家を移築したものもある)だから、ムカデも出るしスズメバチも来る。それが自然というものだ。いいとこ取りはできないし思うようにはならない。子どももまた「自然」である。親の思うようにはならない。
 幼稚園には暖房も冷房もないのだという。(カリキュラムもないし、行事もほどんどない。ひたすら遊ぶだけだという。年齢で分けず3歳から5歳まで「混合」。)それなのに入園申し込みには行列が出来るという。
 介護施設も行政の作った制約などお構いなしにどんどん越えてゆく。寝たきりのお年寄りが1階に住む上に単身の女性宿舎(アパート)を作る。女性入居者にはお手当が出る。介護付きの宿泊施設で要介護の親などの大切な人とゆっくり泊まりがけで出かけてみたい人のための宿屋(ホテル)もある。
 ケアハウス(元気な高齢者向きの賄い付きアパート)にはフグ料理屋を「誘致」しているから食事は美味しいという評判である。全ての施設には(幼稚園にも!)露天風呂と生ビールサーバーが設置されている。
 建物は全て木造であるのは当然であるが、生えている樹木を切らないで建設するために、屋根の一部を切り欠いたりしてある。などなど、いわば、常識を破ったことが多い。
 すべては吉田一平氏の考え方によるのである。当然、がんじがらめの行政システムとは衝突する。何度も役所と折衝し説得したり、抜け道を考え、誤魔化す方法を探す。事業主体も学校法人、社会福祉法人、株式会社、NPO法人と、多彩になっているのは行政の制約条件を回避するためでもある。
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 講演のあと、さらにゴジカラ村の理解を深めようということでシンポジウム形式で質疑など行った。NPO法人・親と教員の会が運営する(敢えて認可をとらない無認可の幼稚園)「こどものその」の理事である吉井佐代美さん、やはりNPOで富山型デイサービス施設「ひらすま」を経営している佐伯知華子さん、しらべ隊隊員で現地を訪れたことのある伊藤冴子さんの3人がシンポジストとしてそれぞれの関心分野から発言し、会場からも意見が出されて、吉田氏との応答があるなど、盛況であった。(私がコーディネーターを務めた。)
 ただ、ゴジカラ村は、ハード・ソフトとも常識的な仕組みを越えたところがあるから、実際を見ないと本当のところはよく分からないし、それでなくても社会福祉事業は厳しい時代であるから、問題は山積のようであるが、制度に合わせて事業を行うのでなく、あるべき人の暮らし方から事業のあり方を考え、制度を変えて(時に無視して、換骨奪胎して、ごまかして)ゆこうとする吉田氏に大いに啓発された参加者が多かったと思う。
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c0068917_20335177.jpg 夕食の交流会のあと、吉田氏を案内して高岡市の新しいイベント「万葉朗唱の会」をスタッフや参加者と一緒に見物してもらった。この催しは、万葉集全20巻4516首の歌のすべてを、リレー方式で歌い継ぐ。連続三昼夜にわたり全国から2000人を超える人々が朗唱する。
 会場は古城公園のお堀に設けられた特設舞台である。今年で19回目だというが、私も初めて観覧した。


c0068917_20344097.jpg 舞台で朗唱するにはあらかじめ申し込んでおかねばならないが、装束を付けるだけならその場で申し出れば着させてくれる。吉田一平さんをはじめ、同行の我々も何人かは万葉時代の衣装を付けて記念撮影。
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by sumiyakist | 2008-10-05 20:47 | 自然と暮らし


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