県側の反論=答弁書

 順序が逆になったが、われわれ原告(控訴人)側の主張である控訴状に対する県側の反論=答弁書の主要部を載せる。(コピーしたものをOCRソフトで読みとって手入れしたものなので、まだ誤字があるかもしれないが、お許しを乞う。)
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控訴の理由に対する反論
1 憲法92条違反について
 憲法92条は、国が地方公共団体の組織及び運営に関する事項を定めることについて定めるものであるから、本件とは関係がなく、このことに関する控訴人らの主張はそれ自体失当である。
2 給与条例主義と住民によるコントロールについて 
(1)控訴人らは、知事の退職手当の額について、議会の藷決による決定と条例による決定を比較すると、①住民の条例改廃請求による内容の修正の余地があるか否か、②金額の決定に至るまでに住民があらかじめ金額を知ることができるか否か及び③場合によっては選挙の争点となって新議会による内容の修正が行われる可能性があるか否かという違いがあると主張する。
 以下、これらの点について、控訴人らの主張に理由がない
ことを明らかにする。                  
(2)まず、地方自治法204条3項の規定を受けて定められた本件支出当時の富山県職員退職手当支給条例(乙1号証。以下「本件条例」という。)をみると、本件条例は、その2条において、特別職と一般職を区別せず、常時勤務に服することを要する者が退職した場合に退職手当を支給するものとしたうえで、その3条から5条において退職の態様や勤続期間に応じた退職手当の算定方法を規定する一方、その15条においては、「知事、副知事及び出納長の在職期間に対する退職手当の額は、この条例の規定にかかわらず、議会で議決する額とすることができる。」としていた。
 これらのうち、たとえば一般的な退職の場合である長期勤続後の退職等の場合の退職手当について定める本件条例4条をみると、そこでは、退職の日におけるその者の給料の月額に、その者の勤続期間が㈰1年以上10年以下の期間については1年につき100分の125、①11年以上20年以下の期間については100分の137.5、②21年以上30年以下の期間については100分の150の割合を、それぞれ乗じて得た額の合計額とするものとされており、特定の職員の退職手当の額がいくらになるかを一般の住民が知ることは不可能であるし、知事についてのように、その者の月額や勤続期間を比較的簡単に調べることができる者についても、その額を確知することは必ずしも容易ではない。
(3)そこで、住民の条例改廃請求による内容の修正の余地があるか否かについて検討すると、その3条から5条において退職の態様や勤続期間に応じた退職手当の算定方法を規定したうえで、その15条において「知事、副知事及び出納長の在職期間に対する退職手当の額は、この条例の規定にかかわらず、議会で議決する額とすることができる。」という本件条例が不適当であるとするならば、控訴人らを含む富山県の住民は、地方自治法12条1項に基づき、何時でも本件条例の改廃を請求することができたのであり、そのことを妨げる事由は何もない。特に、本件条例15条は、本件条例が制定された昭和37年12月から存在し、歴代の知事等に対する退職手当が同条に基づく議決によって決定され、支払われてきたのであるから、同条の存在を知ることが困難であったとすることもない。
 したがって、本件条例15条に定める方法による退職手当の決定について住民の条例改廃請求による内容の修正の余地がないとする控訴人らの主張には理由がない。
(4)次に、金額の決定に至るまでに住民があらかじめ金額を知ることができるか否かについてであるが、本件条例15条によらない場合の退職手当の額であっても、条例には算定方法しか定められていないのであるから、その具体的な額を住民が知ることは容易ではない(前記(2)参照)。かえって、本件条例15条による議決の場合は、議案とし具体的な金額が提示され、その適否についての審義がなされるのであるから、住民からすれば、算定方法だけが条例に定められている場合に比較して、はるかに容易に(しかも議決前に)退職手当の額を知ることができるのである。
 そして、この方式によるときは、退職手当の額が明らかになった時点で議会や議員に働きかけることができることはもちろん、当該義案に対する個々の議員の対応に対する評価を次回の選挙における投票に反映させることもできるのである(次項参照)。
(5)さらに、退職手当の額の適否が場合によっては選挙の争点となって新議会による内容の修正が行われる可能性があるか否かについては、具体的な金額を決定した議決の当否が選挙の争点になる可能性と算定方法だけを定めた条例の適否が選挙の争点となる可能性を比較したときに、前者の可能性の方がはるかに高いことは明らかである。また、算定方法だけを定めた条例の場合は、それが選拳の争点になる可飽性があるのは当該条例を制定した時だけであろうが、条例に基づいて具体的な額の議決を行う場合は、それぞれの議決について、その適否が選挙の争点となる可能性がある。この場合は、それが次回の澤挙における有権者の判断要素になることを認識したうえで、知事は退職手当の額の決定にかかる議案を提出し、議員はその当否について判断を行うことになるが、もしも、算定方法だけを定めた条例によって自動的に退職手当の額が定まるとされている場合には、当該額の決定が選挙の争点になることは考えられないのである。
 したがって、控訴人らのいう退職手当の額の適否が場合によっては選挙の争点となって新議会による内容の修正が行われる可能性というのは、条例で算定方法を定めた直後の選挙(本件条例が制定されたのは昭和37年12月である。)についてだけのことであるが、選挙の争点となり得るということから言えば、内容の面でも機会の面でも、本件条例15条による場合の方がはるかにその可能性が高いのであるから、控訴人らの主張には理由がない。
(6)地方公共団件の運営に関しては、種々の直接民主主義の制度が採用されているが、その基本は、選挙によって選ばれた住民の代表者による行政にあることは、憲法前文、15条及び93条から明らかである。そして、選挙によって就任した議員や長等は、就任後の自らの行動について、さらに次の選挙によって住民の審判を受けることになるのである。
 このような仕組みの中において、知事の退職手当に関する本件条例の定めは、民主主義の原理原則により忠実なものとして是認されるべきであり、控訴人らの非難は当たらない。
(7)控訴人らは、本件条例による退職手当の決定方法がそれを受け取る知事の利益を損なうものであると主張するが、それは現実には起こりえない状況を設定したうえでの非難であるうえに、本件における控訴人らの主張は、当該知事に対する利益の侵害を問題にするのではなく、当該退職手当の支払者である富山県の利益が侵害されたというものであるから、その主張自体失当である。
 なお、議会は、退職手当に関する従前の条例の定めがどのようなものであっても、それを改正することができるのであるから、もしも、控訴人らが主張するように、知事に対する退職手当を低額にしようとするならば、従前の規定がどのようなものであれ、それを改正することによって、その意図を達成することができるのであり、それを妨げるものは何もない.その意味においても、控訴人らの主張は失当である。
以上
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by sumiyakist | 2007-01-29 20:40 | 知事退職金


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