国民監査制度

c0068917_17431131.jpg 4月26日の参議院・行革特別委の中継をたまたま見ていたら、質問者の最後に荒井広幸氏が立った。郵政民営化に対して、対案を示しながら最も理路整然と反対した議員であり、その後、自民党を出て新党日本の結成に参加し幹事長になっている人物である。

 氏が質問の2点目になかなか面白いことを言った。地方自治法にある住民監査制度を国レベルでも作ったらどうかというのである。つまり、自治体行政に対する住民の直接請求にならって、税の使い途に関して不正・不当を発見したら国民はだれでも会計検査院に対して「監査請求」が出来るようにしたらどうか、というものである。

 荒井氏の主張するような国に対する直接請求制度が出来れば当然、その次の段階として(住民訴訟を前置して住民訴訟が行われるように)「国民訴訟制度」が導かれることになるだろう。これはこれで面白い制度だと思う。

 しかし、私はむしろ、現行の住民監査制度が次第に骨抜きにされ、住民にとって使いにくて行政にとって無害なもの、そして実効性のないものに次第に変質させられてゆくことを心配している。(自治体の代わりに<代位して>直接的に返還請求をすることが出来なくなったことは、地方自治法改悪ですでに述べた)。

 それはともかく、荒井氏の主張に対する小泉首相の答弁は、例によってまともに答えずにすれ違いに終わってしまったのであるが、以下に議事録のその部分を転載しておくのでご関心の向きはお読みいただきたい。





参院議事録   行政改革特別委員会  4月26日
(前略)
○荒井広幸君 (中略)ならば二つ目の提案をします。
 考えてもらいたいという総理の国民に対するお問い合わせと同じです。今、この法律は国民参加という行革の視点がないんです。簡素で効率であるということばかり言いますが、国民が主役になって国民が参加できる政府をつくるということです。総理、これも国民の大方の方は御理解いただけると思います。
 ところが、今、このお金は不正に使われているんじゃないか、違法性があるよと認めた場合に、国民が個人的にこのお金は不正に使われているおそれがあるから調べてくださいということは言えないんです。言えないんです。
 地方自治法の二百四十二条、二百五十二条では住民訴訟まで認めているんです。もちろん憲法上の問題がありますが、総理が劇場型で国民の皆さんを参加させたように、この行革に国民が参加する政府をつくるという視点から、お手元に配付をさせていただきましたけれども、国のお金、国民の税金を国民自らが不正に使われているんじゃないですか、会計検査院調査をしてください、その結果、会計検査院が調査をして、なるほど不正であったとなれば処罰される、そしてそのお金を返済もさせる、そのやり方に不服だとなれば、裁判所に訴訟までできるんです。
 総理、この学説は憲法では少数説です、正直に言えば。しかし、今ほど国民の皆さんがこんなに不信を持っている。だから、年金も納めたくないんですよ、返ってくるかどうか分からない、特殊法人や様々なもので無駄に使われているんですから。今日の議論がその最たる議論をしていたわけです。
 ですから、総理、いかがですか、国民が自ら、自らの税金の国の支出、特殊法人の支出、そういったものに対しての検査を請求する、不服があれば裁判までできる、こういうものを考えたらいかがでしょう。その任を今あずかっている会計検査院、どのようにお考えになりますか。
○会計検査院長(大塚宗春君) 今お尋ねのような制度を創設するか、する必要があるかどうかにつきましては極めて立法政策の問題でありまして、会計検査院の意見としては差し控えさせていただきたいと思います。
○荒井広幸君 はい、そこで結構です。
○会計検査院長(大塚宗春君) はい。
○荒井広幸君 差し控えさせていただきたいというのは、自分たちがやっているからやりたくないとも取れるし、憲法問題だと言って時間を稼ぐ、逃げるということにも取れます。
 総理、ここを変えることです。税金です、国民の。国民が国のお金については自らおかしいんじゃないかと、こうこの会計検査院に訴えることができないような国の仕組みで、どうして選挙だけ国民の皆さん参加してくださいということが正当化できますか。
 総理、前向きに考えていただきたいんです。前向きにこれは考えていただかないと、すっぽり抜けてますよ、これは。相変わらず親方日の丸なんですよ。自分たちがやってやる発想です。国民が参加する政府をつくるということです。
 総理、ここを一言で、イエス、ノー、検討、三つでお願いしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、荒井さんが言われたことは正に国会の仕事なんです。政党の仕事、国会議員の仕事なんですよ。代議制度、国民の声を国会議員が受けて国会があるんです。国会で審議することなんです。一人一人の国民が訴訟を起こすよりも、選挙で選ばれた国会議員が国民の気持ちを代弁し、ただすべきはただす、これこそ国会の仕事であると。
○荒井広幸君 恐らくテレビをごらんの皆さんも、総理、後ろ向きだなと思いますよ。国会議員がいても先ほどのような不祥事件なんです。国民が国民自らおかしいよとまず会計検査院に言えるようにする仕組みなんですよ。そこをつくるということについて非常にマイナスですよ、それは、総理。今までの改革、画竜点睛を欠くです。
 ですから、時間がありませんから、私は恐らく一番最後のこの委員会でももう一回総理とやらせていただきますから、御検討ください。
(後略)
 
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by sumiyakist | 2006-05-07 15:08 | 地方自治


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