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政策より政局

 小泉純一郎という政治家をよく知る人は、まさか彼が総理大臣になる人物だとは思っていなかった筈だ。何がサプライズだといって、小泉首相の出現そのものが戦後政治史上のサプライズだった。野党議員には「あんなヤツに改革なんかできるか!」と公言するものもいたし、国会の委員会で「詐欺師」呼ばわりする議員もいたほど、永田町では周知のことだったということだ。(知らぬは有権者ばかりなり、か。)
 加藤紘一氏がこんなことを言っていたことがある。
 「YKKといわれた若手のころに、政策の勉強会をやろうと持ちかけたことがあるが、彼(小泉氏)は断ってきた。その時の理由が『あまり政策の勉強をすると政局のカンが鈍るから』というものだった。」
 まさかその昔に、こんにちあるを予想していたとは思えないから、秀才であり、外務官僚上がりである加藤の政策通ぶりを見せつけられるような勉強会を避けただけだろうと思われるが、屁理屈の才は新人のころからたいしたものだったようだ。
 かつての辻元清美氏の質問で、「総理、総理、ソーリ、・・・」が有名になってしまったけれど、私が強く印象づけられたのは、辻元氏が「パレスチナ問題に関して、オスロ合意をどう評価するか?」とたずねた時のことである。小泉首相は明らかに「オスロ合意」という言葉を知らないことがTVの実況を見ていても分かった。
 しかし、なりたてのホヤホヤとはいえ一国の宰相が重要な国際政治のタームを知らないとは言えない。小泉氏は、さかんに「その(オスロ合意の)内容を言ってくれ」と辻元氏に繰り返していたのだった。そのくらい「外交音痴」だったのである。
 その小泉純一郎が総理・総裁になり、長期政権を打ちたてることになるとは! よく「政治は一寸先は闇」だといわれるが、また、「まばゆい輝き」が訪れることもあるのだ。
 政局のカンだけ確かな政治家が一国の宰相になることの不幸が進行中である。
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by sumiyakist | 2005-10-07 21:00 | STOP THE KOIZUMI

山で暮らしながら下界に関わる日々


by sumiyakist
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