イノシシと闘う

 長い間更新しないでほったらかしにしていたブログだけど、思うところがあって(というほど大げさじゃないが)再開することにした。
 年賀状代わりの通信を毎年作って出しているのだが、ブログに記事を書いているときには適当に選んで版下を作ることができたのであるが、ブログを怠け出してからは通信のために年末年始に慌てて記事を作る羽目になって困っていた。そこで心を入れ替えて(笑)ブログを再開した次第。
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 北陸などの雪深い地域ではイノシシが棲息していないというのがこれまでは通説だった。実際、われわれが久利須で暮らし始めてから、イノシシの被害のことなどは聞いたことがなかった。
状況が変わり始めたのは7、8年前からである。2009年10月〜11月にこのブログでアップしていた。
ソバの収穫
刈り取り終了
 悲惨ともいうべきイノシシの農作物への被害のことは、滋賀県や和歌山県の友人たちから聞いていたが、当地の人びともそれに直面することになった。ここ20年ほど、暖冬によって雪が少なくなったことが、イノシシが棲息できる環境になったためだろう。福井・石川・富山と、北上を続けたようだ。
 イノシシたちにとっての「新天地」でたちまち個体数が増えたのか、水田といわず畑といわず、山間地の農地は被害が続出することとなった。さらに道路脇の斜面は(たぶんクズの根や自然薯を掘り回るために)あちこちで土砂崩れや落石が発生した。
 また、竹の子は壊滅的な被害を蒙った。なにしろ彼(彼女)らは地下50センチの竹の子をかぎ分けることができる嗅覚とツルハシも顔負けの鼻と牙を持っている。シーズンになって竹藪に入るとそこら中にイノシシが掘り出して囓った跡がある。
 人間さまのほうは、必死になってイノシシの掘り残しをあちこち捜してやっと2~3本見つけることができれば御の字というありさまだ。以前ならとても採り尽くせなくてぐんぐん延び放題になって見る間に新しい竹に育っていくのがあちこちにあったものだが、いまはそんな景色はない。このままではいずれ竹林が消滅するのじゃないかと心配するほどだ。
 水田は電気柵で囲うことでいちおう侵入を防ぐことができるようだが、それでも完璧とはいえない。電気がリークしないようにせっせと草刈りをしなければならないとのこと。ムラでもサツマイモの植え付けをやめた家もある。大豆や小豆のようにイノシシが格別それを食べるわけではないだろうけど、土中のミミズを捜すのか、そこら中を掘り回って、おかげで木の根が掘り出されてしまう場合もある。
 害獣といえばこれまでも、タヌキや兎・ハクビシンなど困った存在ではあったが、イノシシほど強烈な被害をもたらすモノはいない。電気柵で囲い、網やトタンで柵をめぐらしたところで、侵入を防ぐのが精一杯。増殖を止めることはできない。行政もカネや人を投入して防除に力を入れることになる。
 中山間地の地域に捕獲隊を組織することになり、捕獲檻の設置を始めた。住民には狩猟免許を取得して檻の管理を要請した。免許取得に補助金(講習や試験などの免許取得費用)を出すという。
 わが久利須村としても誰かが狩猟免許を取る必要あるだろうと、私が県の講習や試験を受けて免許を取り、檻の設置を要請した。狩猟免許といっても猟銃でなく、ワナ(檻)の免許である。

 こうしてイノシシとの闘いが始まったわけである。
 免許を取って間もなく、檻1基が配備され、昨年夏に1頭を捕獲。たまたま連れて行った犬が興奮してたいへんだった。
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 とどめを刺す(「止め刺し」という)のは捕獲隊の責任者や市役所の農林課職員が来てやってくれるのだが、そのあとの処分は当方に任される。折角だからさばいて食肉としてジビエ料理なるものを試みてみたいと思う。
 山続きの隣の市の友人二人がやって来てさばき方を教えてくれた。ニワトリなら何度もさばいたことがあるが、イノシシとなるとなかなかたいへんだ。友人たちのおかげで初獲物は最終的にこんな姿に変わった。
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 もちろん、たいへん美味であった。考えてみれば、人工的な飼料(輸入トウモロコシや残飯など)で飼育されたブタと違って、自然の健康的な食べ物を食って、野山を駆けまわって育ったのだから当然かもしれない。

 今年は檻1基を追加配備してもらい、通年で檻が稼働したせいもあり、全部で9頭も捕獲した。仔イノシシ(うり坊)が一度に3頭も入っていた時もあったし、暮れ近くになって62キロというこれまでの最大の成獣がかかった。しかし、いずれも自分ひとりでさばく気力はなく、捕獲隊関係者に引き取ってもらったり、小さくて引き取り手のないものは穴を掘って埋めた。
3頭の仔イノシシ
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62キロの大物(中もの?)
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 よほどの悪天候でない限り、毎日エサの米ぬかをもって畑まで上がって檻を確認してエサを補充をすることが日課になった。
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by sumiyakist | 2016-12-25 23:36 | 自然と暮らし


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